39話 作戦変更
セツヤが黒い箱で姿を消した時、ふとガルドのことを俺は思い出した。
ガルドも黒い箱を使って逃げたことが過去にあった。もしかしたら、奴らの拠点は悪魔界にあるのかもしれないと。
その時、デュージルに黒虎連合の本部から連絡が入った。
「敵は悪魔界に逃がしてしまいました。ですが、敵の名と顔、戦闘情報を得ることができました」
デュージルはそう説明すると、黒虎連合の本部は何やら慌てた口調で指示を出して来た。
『すぐに豪蓮はその橋から北に進んだ拠点へ向かってくれ!』
「と、言いますと?」
『白龍連合が攻撃して来た!お前たちも戦ったことがある灯城正凪がそこにいる!』
「わかりました。そちらの状況を教えて下さい」
『状況は劣勢!敵のアタッカーである灯城だけでなく、不死身であるマラフもいる!心して掛かれ!』
「了解」
デュージルはそう連絡を受け、俺たち豪蓮はその指示通りに、北の拠点へと進み出した。
黒虎連合本部では、黒将という名のエリートパーティが待機していた。
彼らは黒虎連合の最後の切り札と言っても過言ではない。
「俺たちも拠点に向かったほうがいいんじゃないか?相手はあの灯城だぞ」
大剣を背負った男はそう問いかけた。
彼は黒将のアタッカーであるハビルという男だ。
そんなハビルに巨体のサポーター、デガムスが問いに答える。
「大丈夫だ、今増援がその拠点に向かっている。それでも危険なのなら、我々も行こう。それでいいな?キシラ」
デガムスはそうキシラに聞くと、そのパーティの司令塔であるキシラ・ホワイトは答えた。
「いや、俺たちはこのままここで待機だ。増援は恐らく大丈夫だろう」
その増援である俺たち豪蓮は北の拠点に向け林の中で馬を走らせている時、俺たちの前にある男が現れた。
俺たちは馬を止め、戦闘態勢を取った。
「こいつは……‼」
デュージルはその男を睨みつけた。
俺はその男に向かって勇ましく声を上げた。
「松田隼人‼」
俺たちの前に現れたのはあの松田隼人だった。
松田隼人は死神の黒剣を構えこう言った。
「よぅ、また会ったな。ボウズ」