表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔の継承3  作者: 夜海 来火
第3章 再会の時
41/146

37話 守るために

「またセツヤが鬼だ!」

「逃げろ逃げろー!」


遠い昔の記憶がふと蘇った。

小学生の頃だった。毎日のように友達と近所の公園で鬼ごっこをしていた。

その人数はだいたい8人くらいだ。その8人の中には俺とセツヤもいた。


セツヤは俺たち8人の中では一番運動神経が低かっただろう。鬼ごっこをするといつも鬼になり、セツヤに追いかけられても余程のことが無ければ捕まらない。


セツヤは誰も捕まえることができず、夕暮れが訪れた。


「もう帰るか。6時だしな」

「帰ろ帰ろー」

「相変わらずセツヤは鬼ごっこ弱ぇな!まぁ、鬼ごっこ以外でも弱いか!」


友達はそう言いながら、セツヤの周りに寄って行った。

セツヤも仕方が無いような顔でその言葉を受け止めていた。


俺はそんな状況を許せなかった。

セツヤは弱くはない。そう皆に教えたかった。

だが、気が付けば俺たちは中学生になり、もうそんな外で遊ぶことは無くなってしまった。



中学生活を送り、小学生の頃からの友達はある日を境にセツヤを軽蔑するようになってしまった。


運動もできず、ノリが悪く、オカルト好き。

セツヤは周りから変人扱いされていた。



俺は小学生の頃の友達と縁を切り、孤立したセツヤの下へと行った。

セツヤは俺にとって友達であって、恩人であり、家族でもある。


セツヤは俺の大切な友達だった。



ある日、セツヤは学校の帰り道でこんなことを言い出した。


「ごめんなシン。俺のせいでお前まで軽蔑されて」

「気にすんなって!お前の代わりはいないだろ!」


俺はそう答えると、セツヤは俺にこう言って来た。



「シンが困ったら俺、絶対シンを助けるさ」




「それは俺も同じさ」

俺はそう返事を返した。





そのセツヤが今、俺の前にいる。

黒虎連合に所属している俺とは敵の関係である白龍連合にセツヤはいたのだ。


「白龍連合のボスであるガルドが何をしようとしているのか。わかっているのか⁉セツヤ!」


俺はそう激しく問いかけた。俺の問いに対してセツヤはため息を吐きながら答える。


「あぁ、知っているさ。白龍連合が成そうとしていることはな。ちなみに良いことを教えてやる。白龍連合の長はガルドではない」

「なんだと?」

「白龍連合の長は、ジラ・バーバリタスだ。今度はそちらのことを教えてもらおう」


セツヤはそう言うと、俺に手を差し伸べてこう言った。



「僕の下へ来る気はないか?シン」



「ふざけんな!誰が白龍連合なんかに!」

俺はそう答えると、セツヤは話し出した。

「僕が白龍連合に入った理由。それは君を守るためだよ。シン」

「どういう意味だ!」

「……この世界は時期に滅ぶ。多くの命が亡くなり、多くの人が悲しむだろう。だから“新しい世界”へ行くのさ。自然災害などは一切ない。誰もが安全に生きていける世界だ」

「どうしちまったんだよ!セツヤ!俺だってずっとお前を助けるために!黒虎連合に入って、戦ってきたんだ!お前こそこっちに来い!」

「今質問しているのは僕だ。君は白龍連合に入るのかい?」

「入らねぇよ!お前がこっちに来るんだ!」


俺はセツヤを説得しようと試みたが、セツヤは差し伸べた手を下ろし、こう言った。



「交渉決裂だな。僕は黒虎連合に入って滅びゆく世界を眺めたくはない。君は僕の敵だ。ここで殺す」



「戦うしかねぇのか!」

俺はそう言い、左手に雷の魔力を宿した。しかし、そんな俺の前にデュージルが立ち塞がった。


「やめろシン!うかつに手を出すな!あいつはお前の知っているセツヤではない!天使王を殺したほどの男だ!」


デュージルはそう言うと、セツヤは魔覇の神剣ジ・ブレードを取り出し、俺たちに向かって走り出した。


「ここで散れ……‼」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ