36話 悲壮な再会
「来たぞ……‼」
デュージルは目を橋へと向けそう言った。
その橋は谷の上に建設された大橋で、横幅もかなり大きな橋だ。
その橋を白いフードを被った男が歩いていた。
「カウントをする。カウントが0になったら襲撃するぞ」
「「「了解」」」
デュージルの指示に従い俺たちはそう返事を返した。
俺たちがいた場所は橋から少し離れた谷の上の林の中だ。
「3……」
デュージルはカウントダウンを始めた。白いフードを被った男はこちらに気づいている素振りは見せていない。
「2……」
ネヴァは刀を構え、トルシャは拳銃を構えた。そして林から飛び出す態勢を俺たちは取っていた。
「1……」
俺たちが飛び込もうとしたその時だった。
「誰だい?そこにいるのは」
橋の上に立っていた白のフードを被っていた男は俺たちの存在に気づいていた。
デュージルは舌打ちをした後、俺たちに指示した。
「お見通し。ってわけか。行くぞ」
俺たちは林から飛び出し、白のフードを被った男の目の前に立った。
「お前はこの先には行かせないぞ!」
デュージルはそう白のフードを被った男に言うと、白のフードを被った男はこう言った。
「へぇ、君たちか。君たちのことは知っている。豪蓮という名のパーティで、あの剛迅パーティも倒したらしいな」
「お前は何者だ!随分、俺たちのことを知っているようだが」
デュージルの問いかけに白のフードを被った男は答えた。
「君なら僕のこと、わかるんじゃないかな。なぁ、シン」
「……ッ⁉」
俺は驚いた。俺の名前を知っていた。それにこの声は以前に何度も聞いたことがある声だ。
その時、その男は白いフードを脱ぎ捨てた。
その男の素顔を見た時、俺は動揺を隠しきれなかった。
その男はセツヤだったのだ。
以前と比べて前髪が短くなっているが、間違い無くセツヤだった。
「せ、セツヤ……なのか……?」
俺は震えた声でそう問いかけると、セツヤは少し口角を上げながら答えた。
「久しぶりだね。シン」