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悪魔の継承3  作者: 夜海 来火
第1章 混乱の中に動く者
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2話 するべきこと

それは突然のことだった。


学校から下校していた途中、俺とセツヤを境にして、俺たちが住んでいる東京の街の半分が真っ黒いドームで覆われてしまった。


俺たちはわけもわからないまま、とにかくその場から逃げ出した。



「逃げろ‼なんかヤバイぞ‼」

「お、おい!見ろ!」


セツヤは何かに気づいたらしく、俺はセツヤが指差した方向を見た。


それは真っ黒いドームがどんどん拡大していく姿だった。

つまり、このままでは俺たちは真っ黒いドームに飲み込まれてしまう。


「黒い壁が近づいてくる⁉」

「飲み込まれたら死ぬぞ‼早く逃げるんだ‼」


俺たちはとてつもない恐怖心を抱きながら、そのドームから逃げた。

だが、ドームはどんどん拡大していき、ズズズズと音を立てるかのように近づいてきた。


そのときだった。

俺の足が突然、動かなくなり、そのまま俺は地面へと倒れ込んだ。


「痛っ!こんなときに!」

「シ、シン!後ろだ!」


セツヤには見えていた、真っ黒のドームからまるでシンを捕らえるかのように、真っ黒の巨大な手が伸びていたのだ。


「……っ‼」


俺もそのドームから伸びた巨大な手に気づいたが、とてもその手から逃れられそうになかった。



だが、俺の前にセツヤが立ちはだかった。



「セツヤ……?」

「じゃあな、シン」



セツヤはその巨大な手に胴体を掴まれると、ドームから伸びてきた無数の手がセツヤの腕や足を掴んだ。


「セツヤ‼」

「ああああああああ‼‼‼」


セツヤは抵抗する素振りを見せたが、無駄だった。俺はドームの中に引き込まれるセツヤに向け、手を差し伸べることしかできなかった。



(嫌だ……)


セツヤは引きずり込まれながら、涙を流し思っていた。


(し、死にたくない!)


そして、セツヤは真っ黒いドームの中に引きずり込まれていった。

その後の記憶は覚えていない。






気がつくと、俺は地下室のような場所にいた。

薄暗く、何だか臭い。明かりといったらロウソク一本くらいしかなかった。


「ここは……」

「起きたみたいですね」


俺は女性の声が聞こえた方向に目を向けると、そこには一人の姫のような女性とSPのような格好をした男性がいた。

女性は俺に話しかけてきた。


「今は休んでいて下さい。そしてゆっくり思い出してみて……」

「そうだ、早くセツヤを助けないと!早くしないと!」

あそこ・・・に入ってしまっても、そう簡単には死なないだろう。その子はまだ大丈夫だ」

「あそこ?真っ黒のドームのことか⁉」


俺はSPのような格好をした男性に問いかけた。


「教えてくれ!ここはどこなんだ⁉お前たちは一体何者なんだ⁉」

「俺たちはお前の味方だ。安心しろ。そして今から説明することをよく聞くんだ。まず、もう二度と、普段の生活に戻ることはないだろう」


SPのような格好をした男性はそう答えると、俺はさらに混乱に陥った。


「は?どういうことだ⁉」

「お前は、悪魔のことを知っているか?そして、最強の魔術師の神話を」

「何でも知っている訳じゃない。が、ある程度は知っている」

「そうか、なら、世界が四つに別れていることも知っているな?」


俺はセツヤが話していたことを思い出した。


「あぁ、知っている」

「人間界に突如として現れたあの黒いドーム。あれは人間界の一部が悪魔界と化したということだ」

「じゃあ、人間界にも悪魔が!」

「あぁ、いるかもしれん。だが、悪魔といっても善の悪魔もいる。悪魔にも天使にも人間にもちゃんと善悪の違いがある」

「でも、殺される確率はあるんだろ?」

「その通りだ。だが、助ける方法もある」


SPのような格好をした男性はそう答えると、俺はすぐに聞いた。


「どうやって助けるんだ⁉」

「まず、お前の力を使って、人間界に出現した悪魔界を消す。その後、人間界に溢れた悪い悪魔を、殲滅せんめつさせる」

「悪魔と、戦うってのか⁉」

「安心しろ。武器はちゃんとある。とりあえず、ここから出発するぞ」

「どこに行く気だ?」


俺はそう問うと、姫のような女性が答えて来た。


「この世の安定と秩序を創り出した神殿、天魔の聖堂です」






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