28話 新たなる参戦者
「いくわよ!」
高らかに声を上げるクラネは、華麗にムチを操り、ゴルシャの左腕と右足をそのムチで巻きつけた。
「今よ!」
ゴルシャの動きが止まったその一瞬を俺はつき、俺は左手に溜めた雷の魔力を背後に放電させ、瞬間的な速さでゴルシャに接近した。
そしてその雷が宿った左手でゴルシャにパンチを放った。
殴り飛ばされたゴルシャは、地面に着地し、俺たちを睨んだ。
「やってくれるじゃねぇか」
まるでライオンを怒らせたようだった。しかし、俺たちは屈しなかった。
するとゴルシャは高速で俺の背後に移動してきた。俺は背後をすぐ振り向いたが、そこゴルシャはいなく、ゴルシャはクラネの背後に移動していた。
「しまっ……」
俺はクラネの背後に移動したゴルシャに銃を向けたが、クラネはゴルシャによって殴り飛ばされてしまった。
俺は構わず銃を撃った。
しかしゴルシャは銃弾を高速移動しながら避けた。銃弾のスピードよりゴルシャのスピードのほうが速かった。
「くそ!」
「鈍いな」
ゴルシャは俺にそう言う。
俺は迫ってくるゴルシャに向け、剣で迎え撃とうとしたが、ゴルシャは俺の剣をスライディングで避けつつ、俺の足下からアッパーを放ってきた。
俺は殴り飛ばされ、空中を舞い地面に倒れ込んだ。
クラネも左腕でゴルシャのパンチを防御したせいか、左腕が動かなくなってしまっていた。
そんな俺たちにゴルシャは話しかける。
「話になんねぇな。そんな実力で俺を倒すつもりだったのか?」
ゴルシャはそう言っていると、黒虎連合の誰かが叫んだ。
「援軍だ‼ここを奪い返すぞ‼」
黒虎連合の援軍がこの北側拠点に到着したのだ。
ゴルシャの前に、あの男が立ち上がった。
その男は倒れ込んでいる俺を見た後、ゴルシャを睨みつけた。
「もう、負けないッスよ」
「またお前か。今度こそきっちりあの世へ送ってやるよ」
ゴルシャはそう言い放った。
ゴルシャの前に立ち上がったのはリケッドだった。
リケッドは援軍に所属していたのだ。
「もう今までとは違う。俺の戦いを見せてやる!」
リケッドはそう言うと、今までとは違った戦闘態勢をとった。