22話 初めての出会い
相手パーティにゴルシャがいるとなると、戦い方も変わる。ゴルシャ相手に複数でかかるより、ゴルシャと対等に戦える戦士を一人で戦わせるほうが、勝利確立は上がる。
俺とゴルシャは他の班員から離れた場所で戦うことになったんス。
他の央馬の班員が剛迅の班員を倒せるか。というのも戦況に大きく関わるんスが、やはり一番大きく関わるのは、エース同士、つまりアタッカー同士の対決なんです。
これはスポーツでも同じなんスが、これはスポーツとは違って命を懸けた戦争。
俺とゴルシャは互いに睨み合いました。
「ゴルシャ、アンタはあの日から突然姿を消した。俺の前からも。一体なにがあったんスか」
「お前には関係ねぇだろ。まぁ、少しは俺を楽しませてみろ」
ゴルシャはそう俺に言いました。
そのとき、俺はふと、昔のことを思い出したんス。
ゴルシャと共に過ごした幼いあの日々を。
ーーー10年前ーーー
俺はニューヨークで生まれ育った。ゴルシャと始めて会ったのは俺が7歳の頃だった。
俺は勉強もスポーツもできず、学校の皆からよくいじめられていた。
ある日、いつものように学校の帰り道を歩いていると、同じクラスメイトの男の子たちが俺の近くに寄って来た。
いつも俺のことをいじめてくる奴らだった。
「お前昨日のこと先生に言ったんだってな!おかげで俺たちは散々怒られたんだぞ!」
「お、お前たちがあんなことするから俺は言っただけだろ!」
「うるせぇ!今日こそコテンパンにしてやる!」
俺は4人の男の子たちに殴られた。俺には身を丸くして男の子たちが攻撃をやめてくれるのを待つしか術はなかった。
しかし、男の子たちはいつまでも攻撃をやめない。地面に膝をついて丸くなっている俺に足で踏みつけてくる。
そんなとき、ある声が聞こえた。
「やめろ‼」
その声は近くを通りかかった少年だった。その少年は俺を踏みつけている男の子たちに近づき、一人の頬に殴りつけた。
「てめ、何すんだ!」
「この野郎!」
殴りつけられた仲間を見て、二人がその少年に殴りかかる。しかし、少年は二人のパンチを避け、一人の頬を殴りつけ、もう一人の腹に殴りつけた。
男の子たちは泣きながらその少年から逃げ出した。その少年は俺の近くに駆け寄ると、俺に手を差し伸べた。
「大丈夫か?」
「うん。君は?」
「俺は大丈夫だ。あんなチンピラな奴らどうってことないさ」
少年は俺の手をつかみ、俺は起き上がった。
「お前、名前は何て言うんだ?」
「俺はリケッド。君は?」
「俺の名前はゴルシャだ。よろしくな」
これが俺とゴルシャの初めての出会いだった。