17話 射撃の虎
黒虎連合の本部は大陸の南西にあり、本部を覆うようにいくつかのパーティが存在する。
白龍連合は北東に位置し、黒虎連合と同じようにパーティがいくつか存在している。
そして今回、黒虎連合の北側領土と東側領土に白龍連合は攻撃を仕掛けた。
俺たちは東側領土にある拠点を馬に乗って目指していた。そんな中、トルシャがデュージルに話しかける。
「キャプテン、ちょっといいですか?」
デュージルは答える。
「何だ?」
「やっぱりパーティの名前、考え直してくれませんかね」
「今言う‼⁉」
「ダサいし、センス無さ過ぎ……」
そんな話をしていると、俺たちは東側領土の拠点まで到着した。
デュージルは拠点に待機していた他のパーティに戦況を聞くことにした。
「黒虎連合パーティ豪蓮だ。戦況はどうなっている?」
「黒虎連合パーティ赫花です!ただいま敵はこちらに接近中!敵の数は4人!遠距離攻撃型です!我々8人で4人を叩きます!」
「赫花が味方なら安心だ!なら、“射撃の虎”もいるのか?」
デュージルはそう聞くと、俺はデュージルに聞き返した。
「“射撃の虎”?」
「リケッドの閃光のような別名さ。“射撃の虎”、本名トネイル・ハンネット。100発100中の射撃力を持った攻撃型サポーター。アタッカーの邪魔するものを撃ち消し、敵の攻撃も撃ち返すと言われている」
デュージルはそう答えると、デュージルの近くにトネイルと思われる眼鏡をかけた男がやってきた。
「呼んだか?キャプテン・デュージル。お前にもパーティができて良かったな」
「敵は遠距離攻撃型パーティと聞いた。俺たち豪蓮は敵パーティへと突撃する。赫花はそのサポートをしてもらいたい」
「悪いが、この作戦は引き受けない」
「なんだと?」
「敵がこの拠点に攻めに来るということならば、我々4人で敵を迎え撃つ。もし、この拠点に敵が侵入したのならば、お前たちに任せよう」
「……了解した」
デュージルはそう言うと、ネヴァはトネイルを睨んで言う。
「何スかあいつは!立ち悪りぃ!」
「ここで俺たちが争っても敵は来る。無駄な争いは止せ」
「くっ」
ネヴァは堪えた。
俺はデュージルに聞く。
「じゃあ、俺らは拠点で待機で良いんスね」
「ああ、すぐに出撃できる準備をしておけ」
「了解!」
それから1時間後、敵は拠点へと攻撃を仕掛けて来た。
「馬が4頭!恐らく敵が乗馬している馬がこちらに来ます!」
「トネイル!ハタル!迎え撃て!」
赫花の司令塔はそう指示を出すと、トネイルは両手に拳銃を持ち、ハタルという名の男も片手に銃を持ち、敵の方向へと走って行った。
「銃を持って接近しただと⁉」
ネヴァはそう言うと、赫花のパサーは答える。
「トネイルは見切ったのさ、敵は鎧を身につけている。馬もな。銃弾では効かない。だから接近したんだ」
「接近って、銃での接近戦は不利だろ!」
すると、一人の剣を構えた男がある1頭の馬から降り、そのまま俺たちがいる拠点へと走って来た。
「速いっ!ここに来るぞ!」
デュージルはそう言うと、俺はアザエルが変化した剣を構え、答える。
「俺が闘ります!」
他の三人の敵はそのまま馬に乗ってこちらへと向かって来ていた。
それに向かって真っ正面から走っていたトネイルは、自分の後方に向け、銃弾を放った。
すると、トネイルが持っていたその銃は大経口で、銃弾を撃った反動でトネイルは高速的に移動し、敵の馬とすれ違った。
(鎧を身につけた敵と対峙するときは、膝の裏側が空いているもの)
すれ違った直後、トネイルは馬の膝の裏に拳銃を向けた。
しかし、その距離は6m、7mとどんどん離れて行く上に、馬の足は止まることなく動く。
膝の裏に命中させることは困難を極めた。
しかし、トネイルにはそれができた。
トネイルの眼はまるで機械のように動きを捉えらえていた。
「……そこだ」
トネイルは三発の弾丸を放った。
その三発の弾丸は三頭の馬の膝の裏にそれぞれ命中した。
足を撃たれた馬は、その場に倒れこんでしまった。