14話 死にたくねぇんだよ
壊滅的状況にあった黒虎連合は、全勢力を用いて領地奪還作戦を行うことに。
俺がいるパーティが命令された奪還領地は、数日前まで黒虎連合の東側領地であった3つの拠点。
その3つの内の1つの拠点を奪還するよう指示された。
敵地にはそれぞれ二組ずつパーティが防衛をしているとの情報も得ていた。
しかし、その3つの拠点には、一組ずつしかパーティはいなかった。
しかし、俺たちの前に12人もの敵。パーティ三組分の人数が現れた。
敵地Aでは、他のパーティが敵地Bへ移動していると、ハゲ頭の隊長がこんなことを言い出した。
「バカな!一つの拠点にそんなに人数がいるはず無いだろう!それも、なぜ敵地Bだけなのだ!」
「どうやらこれが敵の作戦でしょう。4対4で戦闘を行うより、12対4で各個撃破するほうが、敵も有利です」
隊長の問いに、女性戦士は答えた。
しかし、隊長は問いかけを続ける。
「だが、何故だ⁉元々は4対8!最初からこちらは不利だったはず!敵はこちらの戦力が劣っていることも知っているだろう!」
「……敵地Bへ行ったパーティは元々3人だけのパーティだった。しかし、昨晩、そのパーティの4人目が入隊したと聞きました。それも、アタッカー。敵はそのアタッカーが入ったことを知っていたのかもしれません」
「どういうことだ!スパイでもいるというのか!」
「いえ、それはわかりません。しかし、敵が各個撃破するのならば、わざわざ敵地Aと敵地Cの間にある敵地Bから狙うでしょうか。これはあくまで私の推理ですが、この戦いは、白龍連合にその“アタッカー”の力を試されてるように思います」
「どちらにせよ、早く行きましょう。敵地Bに着き次第、僕が暴れますから」
若い男性はそう言うと、そのパーティは俺たちがいる敵地Bへとどんどん向かって行った。
一方、12人もの敵に囲まれた俺たちのパーティはパサーであるデュージルが指示を出そうとしていた。
(3対1では分が悪過ぎる。それに敵が必ずしも3対1で来るとは限らない。恐らく大人数で1人を狙うだろう。一度引くしかなさそうだが、360度敵に囲まれている……)
するとデュージルは指示を出した。
「トルシャ!ネヴァ!神谷!俺の下へ来い!」
「「「ッ!」」」
俺たちはデュージルの近くへ駆け寄った。デュージルの左手にはミニサイズの黒い箱が握られていた。
デュージルの左手を見た敵は、剣を構え、デュージルに接近した。
「悪魔界へ飛んで逃げる気か!」
デュージルは箱を開けようとしたが、もうすぐそばに敵が迫ってきていた。
(くそ!間に合わない!)
デュージルはそう思った瞬間、俺はデュージルから離れ、接近してきた敵を殴り飛ばした。
「神谷……ッ!」
「かかれ!」
3人から離れた俺に向かって、11人の敵は攻撃を仕掛けてきた。
「俺はここで、こんなとこで、死にたくねぇんだよ!」
俺はそう言い放つと、俺へと攻撃をし掛けた敵は皆、吹っ飛ばされた。
吹っ飛ばされた敵は起き上がり、俺の様子を伺うと、敵は驚いていた。
俺の身体を覆うように蒼い骸骨が宿っていたのだ。