13話 もう一組
「ブーメランが拳銃に変化しただと……⁉」
「な、なんだ!奴のあの武器は!」
三人の男たちはそう言っていた。ネヴァも俺が持っている武器を見て、少々驚いていた。
(これが、キャプテンが言っていた堕天の結晶。結晶に封印されたアザエルが様々な武器に変化することで力を発揮する武器か)
「お前ら落ち着け。奴の武器は色々変化するだけだ。冷静に対処すれば問題はない」
敵パーティのパサーと思われる男はそう言うと、尻もちをついた三人の男たちは再び剣を構えた。
そしてその内の一人が、他の二人に言う。
「よし、いつもの連携技をやるぞ!」
すると三人の内の一人が、俺に向かって剣から斬撃波を放った。
その斬撃波は俺の足元に直撃し、俺の周りに土煙が舞った。
その土煙に他の二人が剣を構え突入して行った。
俺は土煙の中にいるせいで視界はほぼ見えなかった。
だが、俺の耳にデュージルの声が聞こえてきた。
「神谷!その土煙の中から二人の攻撃が来るぞ!」
(二人の攻撃って、どこから来んのかわかったもんじゃねぇだろ!)
それを聞いて少し混乱した俺だったが、その場でジャンプし、真下の地面に雷撃を放ったことで、俺の周りの土煙が吹き消され、さらに俺の近くにいた二人の男たちは感電した。
「こいつ!魔術まで!」
「く、くそ……!」
二人の男はその場で倒れ込んでしまった。
俺は地面に着地すると、斬撃波を放ってきた男に向かって走り出した。
「真っ正面から来るか!だが、甘い!」
剣を構えた男はそう言うと、俺はアザエルが変化した輝かしい剣を構え、その男に斬りかかった。
「悪いが俺の攻撃は防御不可能だ」
(防御した後に、カウンターをくらわす!)
俺はそう言い、剣で防御の態勢をとった男はそう思うと、俺の剣とその男の剣が交わった。
「……ッ‼‼」
すると、剣で防御した男の表情が急変した。
俺はその男に言う。
「言ったろ。防御不可能だと」
「貴様……剣の刃に……雷属性の魔力を……‼‼」
そう、俺が持っていた剣は雷属性の魔力を帯びていたのだ。
そしてその男はその剣と接触してしまったことで、感電してしまったのだ。
「さて、あとは敵パーティのパサーを倒すだけだな」
俺はそう言い、敵のパサーの方向を見たが、そこには倒れた敵のパサーとネヴァがいた。
「こっちも終わったよ。とりあえず1組目のパーティは倒せたね」
ネヴァはそう言うと、デュージルは俺たちに言う。
「油断はするな。今みたいに、いつ敵のパーティが現れるのかわからん」
俺たちはもう一組のパーティを探し始めた。
その途中、デュージルの無線に同じ黒虎連合の他のパーティから連絡が入った。
《いくら探しても敵地Aには敵パーティが一組しかいない!》
《こちら敵地C!こちらも同じく一組しかいません!》
「敵地Bも一組しかいませんでした。敵地にはそれぞれ二組ずついると聞いたのですが……」
すると、俺たちの背後から声が聞こえた。
「まずはここか」
「各個撃破とは。めんどくさいやり方だな」
「これが一番、安全な対策だ」
俺たちの後ろにいたのは白龍連合の兵士計12人だった。
敵地A、B、Cからそれぞれ一組ずつ集まったのであろう。
「こちら敵地B!敵12人、パーティ三組分と遭遇。恐らく敵地A、Cのもう一組のパーティもいる!奴らは最初から、この拠点だけは守ろうとしていたんだ!」
《敵地Bに増援を送る!それまで耐えてくれ!》
そこで、他のパーティとの連絡は途絶えてしまった。
俺たち4人は12人の敵を前にして、戦闘態勢をとった。