131話 ジラ・バーバリタスvs松田隼人
「やっとお前をぶっ叩く時が来たぜ、クソジジイ」
究極悪魔化している松田隼人はついに戦意を剥き出したジラ・バーバリタスにそう言った。
「悪魔界の英雄などと言われても、所詮悪魔の力に取り憑かれた愚かな人間。そんな貴様に我が神の力を見せてやろう」
ジラ・バーバリタスの周りに金のパネルが組み合わさったことによって造られた金のカッターナイフが無数に浮き始めた。すると、無数のカッターナイフはジラ・バーバリタスの指示で松田隼人へと飛行して行った。それもただの飛行ではなく、それぞれのカッターナイフが飛行する向きを変え、松田隼人の360度周囲から襲いかかった。
「避けきれねェ!」
松田隼人は魔神召喚を発動し、身体を覆うように魔神が出現した。しかし、無数のカッターナイフは霊体の魔神の身体をすり抜け、松田隼人を斬りつけた。
「この神の武器は魔力を一切受け付けない能力を持っていての、魔力を無効化するのじゃよ」
そうしているうちにジラ・バーバリタスは金のパネル同士を組み合わせ、金の剣を両手に持ち、松田隼人へと滑空していった。
松田隼人は向かってくるジラ・バーバリタスに対して死神の黒剣を装備し、ジラ・バーバリタスを迎え撃った。
松田隼人の剣とジラ・バーバリタスの剣は交わし合い、火花を散らし、高い金属音を立て、両者己の持つ剣術を駆使して激突しあった。
一瞬の迷いが致命傷を負うことになるこの剣術同士の戦いは互角かと思われたが、ジラ・バーバリタスのカッターナイフは容赦なく松田隼人へと襲いかかった。松田隼人はジラ・バーバリタスと剣を交わしつつ、カッターナイフによって無数の切り傷を負っていた。
よって、互角かのように思われたが、カッターナイフの傷によって松田隼人の右膝が、一瞬屈折してしまい松田隼人は体勢を崩した。
その一瞬をジラ・バーバリタスは見逃すことなく、松田隼人を斬りつけ蹴り倒した。
蹴り倒された松田隼人の上空から、カッターナイフが形を変え、4本の鋭いトゲに変化し松田隼人へと急降下した。
「ぐあああああ!!!」
4本のトゲは松田隼人の両手、両足を貫通し地面に突き刺さった。これによって松田隼人の動きは封じられた。傷口からは大量に出血している。
「お前はよくぞここまで我らに刃向かってくれた。青二才だったお前に殺された我が同士の仇、ここで獲らせて頂こう」
「我が同士……?くそ!俺はまだ死なねぇ!」
するとジラ・バーバリタスの周りの重力が変化したが、ジラ・バーバリタスは背中に金のパネルで組み合わさった翼をまとい、重力変化を無効化した。
「私に魔力は効かぬ。そなたの手はもう何も残っておらぬぞ最強の魔術師!お前のその伝説もここで、葬り去ってやろう!」
するとジラ・バーバリタスの右腕に金のパネルが組み合わさり、キャノン砲が生まれた。
キャノン砲は少しずつパワーをチャージし、身動きが取れない松田隼人へと銃口を向けた。
「あの世で運命を恨むがいい!」
ジラ・バーバリタスの右腕に装備されたキャノン砲は強大な魔力を放ち、松田隼人もろともそのビルを吹き飛ばした。
「……まさか、貴様からのこのこやってくるとはな、小娘め」
なんとそこに現れたのは行方不明だった5人目の運命の鍵の所持者、ユリシスと松田隼人の弟である松田狩武だった。
「あなたの野望を無視するわけにはいきません。松田隼人さん、いえ、神話の魔術師様、私の治癒魔術であなたを回復させます。私とともにジラ・バーバリタスを阻止するのです」
「随分ボロボロだね兄さん、時間は僕が稼ぐ!兄さんは回復して待ってて!」
狩武は背中から天使と悪魔の翼を片翼ずつ生やし、ジラ・バーバリタスを前に戦闘態勢をとった。
「狩武、ユリシス姫の奪還と護衛任務、よくやったぞ!この地に今ユリシス姫がいるのはお前のおかげだ!」
松田隼人は狩武をそう褒め称えると、ジラ・バーバリタスは自らの周りに金のカッターを浮かせた。
「本当にお前たちは愚かだ。神の邪魔をしようなどど、貴様ら悪人は一人も残さず消し去ってやろう」
松田隼人の絶対的なピンチに、ユリシス姫と青年へと成長した狩武が現れたのだった。




