128話 辿り着いた者たち
128話から世界全面戦争と約束の地で話が分岐します。
やがて分岐した話はまた一つにまとまるので、両方読んで頂くことをオススメします。
そして、月と太陽が重なり合う時は来たのだった。
「運命の時です」
それぞれ運命の鍵である石を持つ者、そしてその者の近くにいた人々は赤い光に包まれ姿を消した。
5人の運命を持つ者とその協力者が約束の地へと旅立ったのだ。
気がつくと神谷シンは草原の真ん中で寝転がっていた。目を覚ましたシンは辺りを見渡した。そこにはクラネ、トネイル、リケッドが寝転がっていた。
「おい!起きろ!しっかりしろ!」
シンは三人を無事に起こし、周りを確認した。
ついに来たのだ。約束の地に。
辺りは草原が広がっており、遠くには高層ビル群のような街のようなものが見えた。
「ついに来たんだ。作戦通りに俺たちは神の秘宝を手にできる場所を目指す!キルビスさんからの情報が正しければあの遠くにある高層ビル群にある!行くぞ!」
シンは指示を出すと三人はシンの指示のもと、高層ビル群へと向かって行った。
パーティ名は無い。だが、このメンバーは松田隼人の指示によってパーティとして構成されていた。アタッカーはリケッド、テクニークはトネイル、サポーターはクラネ、そしてパサーはシン。
黒虎連合の実力者たちが集められた一時的に生まれたパーティであった。
一方、シンたちが向かっている高層ビルにはジラ・バーバリタスとシドウ、そしてジラ・バーバリタスと意思を共有する三体の騎士がそこに転送されていた。
「ついに来たようですね、約束の地に」
「そのようじゃな」
ジラ・バーバリタスは意思を共有する三体の騎士たちに命令を下した。
「これからお前たちは戦闘を行わず、他の石を持つ者どもを見張ってもらう。まず最も神の秘宝奪取の可能性が高いセツヤを、そしてユリシス姫を探し出し、神の秘宝を手に入れる場所を見つけ出しその場を見張れ。3つに分かれて探しなさい」
ジラ・バーバリタスがそう指示すると騎士たちは翼を背から生やし、それぞれ去って行った。
「女神の血を引く者の生まれる前から刻まれた記憶、それを見ることができればこの場所を見つけることなど造作もなかったな」
セツヤたちも高層ビル群の中に転送されていたらしく、さらになんとセツヤたちは既に神の秘宝を手にする聖堂の場所を見つけ出していた。
女神の血を引く者であるフタイにかつてセツヤがガルドから受け取った‘‘薬”を使用したことにより、フタイはこの場所を当て出したのだ。
しかし、フタイの身体にも相当な負荷がかかっており、フタイはフラついていた。
「ミズナ、フタイに肩を貸してやれ。……入るぞ」
セツヤたちは聖堂の中へと足を踏み入れた。
聖堂の中は丸い形をしており、真ん中には台座が設置されていた。その台座の上には灰皿のような皿が置かれていた。
「よし、お前たちは外で部外者が来ないよう見張っていろ。ただし、神谷シンが来た場合
そいつだけ通せ。それ以外はこの聖堂に入れるな」
「了解」
ミズナとキビル、そしてフタイは聖堂の外で敵が来るのを待機した。セツヤはそのまま聖堂に残り、台座に向けて手を伸ばした。
(神の秘宝の受け取るにはこの皿に最強の魔術師の血を流すこと……だったな)
セツヤは小さなナイフを取り出し、皿に向けて伸ばした手にナイフを刻み入れた。
「さあ……儀式を始めよう」




