11話 それぞれの役割
少人数での戦闘、殲滅、侵入、作戦を行う小隊をパーティという。
パーティは基本的に4人1組で構成され、各々がそのパーティの役割を持っている。
まずパーティに指示を出す司令塔、“パサー”。
戦闘や作戦の全体を見て判断する役割であり、パーティの生存率はパサーによって変わる。
次に“サポーター”。
パサーのそばに付き、主に司令塔を守る役割。司令塔はそのパーティの要であるため、敵に狙われやすいので、サポーターも重要である。また、他の隊員のサポートもすることもある。
次に“テクニーク”。
攻撃のサポート、防御のサポートを臨機応変に行ない、パーティの攻撃力と防御力を上げる役割。基本的には攻撃を行う。
そしてパーティの攻撃力そのものである“アタッカー”。
敵への攻撃を基とし、パーティにおけるエース的な存在である。
「ーーそのアタッカーを、お前にやって欲しいんだ。神谷 真」
「お、俺に?」
デュージルは俺にそう言った。
「いやいや、俺がそんな重要な役割で大丈夫なんすか⁉」
「パーティは4人しかいないんだ。重要じゃない奴なんていない。それにこの役割が、“お前ら”が一番力を発揮できる役割だと思うからな」
デュージルはそう言うと、アザエルが反応した。
『へっ、お前らって、俺も含まれてんのかよ』
「お前は神谷のパートナーなんだろ?」
『ケッ』
俺はふとした疑問を感じ、デュージルに聞いて見ることにした。
「ってか、何でパーティは4人だけ何ですか?もっと人を集めれば、役割だってーー」
「確かに戦闘するならば、人数は多い方が良いに決まっている。だが、黒虎連合による敵地の占領作戦において、敵地への侵入は大人数になればなるほど失敗しやすくなる。そこで必要最低限の人数にしたのがパーティだ」
すると今度はネヴァが説明し出した。
「ちなみに、俺らのパーティはまだ黒虎連合の作戦には出動したことがない。人数が一人足りなかったからな。だが、もうこれで4人揃ったんだ。今日が俺らのパーティ創設記念な!」
「明日は俺たち初のミッションだ。黒虎連合の全勢力による占領作戦。この作戦が失敗し、黒虎連合が滅べば、この世はどうなってしまうのかわからん。明日に備えて今日は休め」
デュージルはそう言い、ソファに寄りかかった。ネヴァも酒を飲み出した。
すると、トルシャが俺に話しかけてきた。
「……アンタが言っていた助けたい友人っていうのは、生きているの?」
「……わからない。いや、生きています。あいつは人間界に突然出現した悪魔界の中に引きずり込まれました。その悪魔界に行ってーー」
「その子のことはすぐに忘れなさい」
トルシャはそう言うと、俺は少し苛立った口調で答えた。
「は?」
「人間界に出現した悪魔界。あれは白龍連合の主体である組織、聖白天という組織が出現させたもの。そんなとこに一般人が入ったら、殺されるに決まっているわ。私たちが助けるのは生存者だけ。死んでいるかどうかもわからない人は助けようとするだけで損よ」
「そんな、まだ死んだなんてわからなーー」
「その子は死んだわ。その子のことは忘れて、ミッションに集中することね」
「……死んでいても助けるさ、死体になっていても、生きていても、絶対、連れ戻す」
俺はそうトルシャに告げた。
そして、翌日。
黒虎連合の全勢力による敵地占領作戦が開始した。