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悪魔の継承3  作者: 夜海 来火
第7章 運命の日へと
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120話 凄絶なる真実

シンは目覚めると布団の中にいた。目覚める前は何をしていた?そうだ、俺は考え事をしていて、庭に出て、そんで……。

順番に思い出していると最後に浮かび上がったのは魔神が独断の意思で倒れてくる木々を受け止めていた姿だった。

「そうだ!俺は!」

「起きたかの」

シンのすぐ隣にはキルビスが座っていた。起き上がったシンはすぐに問いかけた。

「なんで俺は魔神化を使えるのか!なんで俺は魔法結晶無しで魔術を放てるのか!あの魔神はなぜ独断で動いたのか!あなたは知ってるんでしょう!?」

「やはり混乱するかの、無理もない。いつかそう聞かれると思っておった」

「知ってたんですね?なぜ教えてくれなかった!」

「君には知って欲しくなかった。君が君自身のことを知ってしまえば、もうただの人間、ただの高校生として生きてはいけないからじゃ。だが、君が知りたいと言うのならば教えてやるつもりじゃ」

「……お願いします」

シンはそう言葉を返すとキルビスは少し黙り込んでから話し出した。

その会話を部屋の外の廊下から松田隼人もこっそり聞いていた。


「神話時代と呼ばれる悪魔界も天使界も人間界も存在しない時代、まだ世界が一つだった時代に、たった一人で何万体の闇の軍団、死神デスパーソンと戦った英雄がいた。その者は最強の魔術師と讃えられ、今もなお伝説となっている。そしてその者の生まれ変わりこそが松田隼人ちゃんなのじゃ」

「その最強の魔術師と俺の力がどう関係あるんですか?」

シンはそう問いかけるとキルビスは話し始める。

「戦いが終わると最強の魔術師はやがて一人の子を持つことになった。その子どもには父親である最強の魔術師の魔力、体力が濃く受け継がれ、天賦の才能を持つ子じゃった。それと同時に最強の魔術師は一つの不安に気づいたのじゃ、最強の魔術師は最強とは謳われておるが誰よりも戦いを好まない者じゃった。最強の力を持った者が同じ世代に二人同時に現れたのならば、必ず最強を巡って戦いが起こるだろうと。そうなれば自分が平和のために戦ってきたものが無駄になってしまう。最強の魔術師は二人目の子は持たず、一人の子どもに全てを教えた。そして、その子にも伝えたのじゃ、『子は一人しか持ってはいけない』とな。子はその言葉に従い、さらにその子の息子もその言葉に従った。こうして同じ世代に最強が二人同時に現れることはなくなった。じゃが、やがてある代でそれは崩れた。ある代の魔術師の子孫はホワイト国の愛人を作ってしまった。そうしてその二人目の腹違いの子どもを産んでしまった」

するとキルビスは少し躊躇った後に言い放った。


「その子たちこそが、神谷シンと䋝田セツヤなのじゃ」


「は?」

シンは思わずそう口に出した。その会話を廊下で聞いていた松田隼人も動揺を隠しきれなかった。

「セツヤと俺が腹違いの兄弟って言いたいんですか?」

「そうじゃ。だが、二人の子を生ませたことにやはり周囲は納得しなくての、その二人はある一族にそれぞれ引き取られることになった。シンは雷神一族に、セツヤは風神一族に。そしてお前たちの父親と母親は罰として二度と子どもたちの前に姿を現してはいけない。とされた。しかし、雷神一族も風神一族も戦闘民族であった。連盟種族とて二人が戦い合うことも万が一にあり得る。そこでホワイト国のラグメニムル家の老人が孫であるセツヤを引き取ったのじゃ。その後、雷神一族が白龍連合によって壊滅状態に晒された時、赤ん坊のシンをその老人は引き取り日本へ来たのじゃ」

「そんなことが、俺とセツヤが兄弟だと!?それはセツヤは知っているのか!?」

「いや、セツヤも知らんじゃろう。本来、お前たちが腹違いの兄弟ということはワシを含め一部の者にしか知られておらぬ。じゃが、ワシはやはりそれはおかしいと思うた。だから話したのじゃ。どんな形で親がいようと、本当の親の存在を否定してはならない。最強の魔術師の子孫は間違いなく二人おる。ワシはお前に突如として現れた魔神は、アレは先祖の意志が具現化したものではないかと考えておるのじゃ。生まれ変わりである松田隼人との衝突によって発現したのではないかの」

シンのその衝撃の事実に戸惑いを隠せず、混乱し、気がつけば意識を失っていた。



時同じく、白龍連合が制した天使界の王宮ではジラ・バーバリタスが会議を開いていた。

その会議にはジラ・バーバリタスと側近のガルドを始め、白騎士の四人に悪魔界の隊長クラスの兵士や天使界の隊長クラスの兵士が収集されていた。

ガルドが出欠を取ると、すぐに話し出した。

「ではこれより、白龍連合定式会議を始める。まず今回の議題としては現在、松田隼人の捜索を白騎士アルバトーラ率いる毒蛇隊に命じている。だが、松田隼人だけ探し出しても意味はない。神谷シン、䋝田セツヤ、ユリシス・ペルセポネの行方も捜索したいところだ。そこで、神谷シンの捜索を悪魔兵のレヴィトン率いる悪魔第16隊に、䋝田セツヤの捜索を天使兵ポネル率いる天使第7隊に命じたい。ここで何か意義があるものは?」

するとセフェウスが挙手した。

「お言葉のようだが、ユリシスは置いておいて、神谷シンと䋝田セツヤは二人ともかなりの手練れです。現に神谷シンは灯城柾凪とうじょうまさなぎを倒し、䋝田セツヤは黒虎連合のボス、キシラ・ホワイトを葬っている。悪魔界や天使界の優秀な戦士とはいえ、正直彼らの相手にはならないでしょう。戦争が開戦する前にわざわざ戦力を削る必要は無い。ユリシスの捜索はゴルガ、神谷シンの捜索はシドウ、䋝田セツヤの捜索はワタクシに任せてみてはいかがでしょうか」

「どう思われますか、ジラ・バーバリタス様」

ガルドはセフェウスの意見に対しジラ・バーバリタスに問いかけると、ジラ・バーバリタスはうなずいた。

「よかろう。いい報告を待っている」

「ありがとうございます。必ずやあなたの期待に応えて見せましょう」

セフェウスはそう返事を返し丁寧に頭を下げた。



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