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悪魔の継承3  作者: 夜海 来火
第7章 運命の日へと
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119話 シンの謎

日本長野の山の奥に潜む寺で、松田隼人の指導のもと、神谷シンの修行が行われていた。

「ハッ!!」

神谷シンは松田隼人に渾身のパンチを放つものの、松田隼人はそのパンチを避け、神谷シンの腹にパンチを一発打ち込んだ。

神谷シンは反撃しようと蹴りを放ったが、松田隼人は身を低くし、蹴りを避け、さらにもう一発シンの腹にパンチを打ち込んだ。

シンは腹に来た攻撃に耐え切れずその場で身を丸くすると、その無防備なシンを松田隼人は見逃さず、強烈なゲンコツをシンの頭に打ち込んだ。

シンはそのダメージで地面に倒れ伏せてしまった。


「攻撃が単調かつ大振りすぎだ。そんな攻撃では敵に簡単に見切られ隙を生ませてしまう。今まで生きてこられたのは能力のおかげだな」

松田隼人はそう言うとシンは立ち上がった。

「うるせぇ!」

シンは再び松田隼人に向かって走り出した。すると、松田隼人の目の前から突如姿を消し、松田隼人の背後に移動していた。

「速いっ!!」

松田隼人は瞬時に背後に移動したシンに反応し、シンの攻撃をガードで弾いた。

しかし、シンもそれで攻撃をやめることなく、ガードの死角から蹴りやパンチで攻めるが、松田隼人はピンポイントでどの攻撃もガードしてみせた。

シンの攻撃を防ぎつつ松田隼人は話し出した。

「いいかシン、戦闘ってのは目で見てから動くんじゃダメなんだ。大事なのは相手の‘‘魔力や闘気を感じること”だ、冷静になってな」

すると松田隼人はシンの足に自分の足を引っ掛け、シンの体勢を崩した。

シンが自分でも気づかなかった箇所をピンポイントで蹴り上げ、そして松田隼人はシンを上空へ蹴り飛ばした。

「ぐっ!!」

シンは宙を舞い、そして地面に墜落した。松田隼人はそんなシンの様子を見つつ、再び立ち上がるのを待っていた。

「どうした?能力も武器も無いお前の力はこんなものか?」


(くそ、なんて強さだ。相手の白騎士ってのは松田隼人こいつより強ェなんてよ、俺はまだまだ弱ェな、ちくしょう!)


シンはそう考えながら再び立ち上がり、戦闘態勢を取ったが、松田隼人はこう言い放つ。

「今日の修行は終わりだ。お前は戦闘において何にもわかっちゃいねぇ。今日俺が言ったことを反復して明日は1人で考えろ。今のお前になにが足りねぇのかをな」

松田隼人はそう言い残すと先に寺に戻ってしまった。

「んだよちくしょう、気にいらねぇ」

シンは頭の中にモヤモヤを抱えたまま、その日は寺で休むことにした。


その夜、シンはキルビスの寺で身体を布団に包ませながら考えていた。

松田隼人が言っていた自分がわかっていないこととは何なのか。足りていないこととは何なのかを。

確かに俺に足りていないのは戦闘経験だろう。今までは魔法結晶無しで発動できる雷の魔術、堕天の魔石フォールンクリスタルによるアザエルが変化した武器、そして呪われし小悪魔レアルの呪憎裏プロミスを解いた松田隼人にしか発動できない魔神召喚サムンスを何故か発動できるという異質な能力。この三つに今まで俺は頼ってきた。


なぜ魔神召喚サムンスが使える?なぜ魔法結晶必須の魔術を俺は魔法結晶無しで使える?


俺は自分のことを知っているようで何も知らなかった。

そう思いついたシンは布団から飛び出し、寺の庭に出た。


月明かりが庭を照らす中、シンはその場で魔神召喚サムンスを発動した。召喚した魔神はシンの身体を覆うように出現し、青白い光を放っていた。

今思えば初めて魔神召喚サムンスを発動したのはいつだっただろうか。……そうだ、松田隼人と天魔の聖堂で戦った時だ。じゃあなぜあの時発動できた?発動する条件があるのならばあの時にはすでに条件が整っていたのか?

考えれば考えるほど謎が浮き上がる。頭の中はモヤモヤだらけだ。

「あー、くそ!」

シンはモヤモヤを吹き飛ばそうと地面に向かって魔神のパンチを放った。そのパンチは思っていたよりも威力があり、寺があるその山が揺れたような感覚だった。

「やべ、久々に魔神使ったから威力忘れてた。松田隼人とか起きちゃったかな?」

シンはそう呟くと、寺の中から寝ぼけたキルビスが現れた。

「こんな夜中にうるさいのぉ〜、近所迷惑じゃ〜」

「近所って、ここは山の秘境じゃねえか!」

「一体何してたんじゃ、魔神なんか召喚しおって」

「……少し考え事で」

シンはそう説明していると、先ほどのパンチの影響で木々が倒れようとしていた。それもシンに向かって倒れようとしていたのだ。

そのことにシンが気づいた時には遅かった。

「うお!!」

夜中の山々に木々が倒れる音が響き渡った。


シンに向かって木々が倒れたからといって、シンの身体は魔神に覆われているので怪我をする心配は無かったが、シンはこの瞬間、とあることに気づく。


魔神が倒れてきた木々を受け止めていたのだ。


シンは木々が倒れることに直前まで気づかなかった。気づいてから受け止めるには時間が足りなかった。

つまりシンを覆っている魔神は‘‘シンの意思とは関係なく別の意思で動いた”のだ。


魔神に守られたシンは、自らの身体を覆っている魔神に問いかけた。


「お前は……誰だ……!?」



その頃、悪魔界にあるボロい建物にアルバトーラが現れた。

その建物には何百人もの男たちが潜んでおり、アルバトーラの姿を見るなり姿勢を正した。


「「おかえりなさいませ!アルバトーラ様!」」


男たちは一斉に礼をするとアルバトーラはその建物内にある黒い椅子に腰かけた。

「私の愛する部下たち毒蛇隊よ、お前たちにジラ・バーバリタス様から指令が下った!人間界に潜伏しているパーティ朱瑩及び松田隼人を探し出せ。見つけ次第アタシに報告しろ、いいな?」

「了解しました!」

すると毒蛇隊の男たちはミニサイズの黒い箱ブラックボックスを次々と取り出した。


「さあ行きな!何としてでも見つけ出せ!」


白騎士の一人、アルバトーラが率いる毒蛇隊が松田隼人の討伐へと動き出す!



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