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悪魔の継承3  作者: 夜海 来火
第7章 運命の日へと
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118話 宣戦布告

「ぬるいぞ、黒虎連合」

不意の隙をついてケネスの背後に周り込んだガルドはケネスの耳元でそう呟いた。

ガルドはケネスの首元を狙いナイフを振った。しかし、ケネスの姿は一瞬にしてその場から消えてしまった。

ケネスはガルドから少し離れた場所に瞬間移動していた。ガルドは不思議そうな表情で問いかける。

「瞬間移動?そんな悪魔武器が存在したとは」

「瞬間移動ととらえたか、瞬間移動も答えにはなっているが、俺がしているのは瞬間移動ではない」

ケネスはそう答えると、ガルドに向けてメルタが剣を手に持ち攻撃を仕掛けた。

ガルドはメルタの攻撃を全て避け続け、手に持っているナイフでメルタの剣を受け止めた。

「そんな太刀筋では私は斬れん。私を舐めるな」

ガルドはそう言うと、メルタを蹴り飛ばした。するとそのガルドに向かって央馬の隊長が槍を構え正面から攻撃を仕掛け、朱希羅が時間停止タイムストップの能力を使いガルドの背後に瞬間移動した。

「な、なんだと!?」

ガルドは朱希羅に顔を殴られ、央馬の隊長によって槍を突き刺された。

しかし、ガルドの姿は溶けていくように姿を消した。

「これは!」

「また身代わりフェイクか!」

ガルドはその部屋の中心に位置するテーブルの上に姿を現し、こう告げた。


「ジラ・バーバリタス様のお言葉を預かった、静聴するがいい。白龍連合はこの時をもって宣戦布告する。来たる5ヶ月後の運命の日の前日、我々白龍連合は全勢力を持って黒虎連合を葬り去る。お前らの命も残りわずかだ、死にたくなければ我々の傘下へと下るがいい。期限は1週間以内だ。それを過ぎれば我々白龍連合は戦闘準備を始める。いい返事を期待している。もし、黒虎連合が我々の傘下に加わらない場合は先ほどパーティ央馬の男が言った通り黒虎連合と白龍連合の世界全面戦争を勃発させる。お前らがホワイト国を味方につけようが異端一族を味方につけようが勝ち目は万に一つもない」

「白龍連合の目的はなんだ!?何のためにここまで世を乱す!?」

ケネスは問いかけるとガルドは答える。

「我々白龍連合は悪魔界、天使界、人間界を全てを統一し、全ての者どもがジラ・バーバリタス様の思考に合わせ、完全なる帝国を築くことだ。そのためには人間界の統一と全人類を対象者の思考に合わせるための‘‘神の秘宝”が必要となるのだ。神の秘宝を手に入れることができるのは‘‘運命の鍵”を持って約束の地へと訪れた5人のうちの1人だけ。そして約束の地への扉が開かれるのは5ヶ月後の皆既日食の日だけだ。黒虎連合が我々の傘下に加わらなければ、白龍連合はその日の前日、全勢力をかけて黒虎連合を叩き潰す。たとえお前たちが王国や異端種族を味方につけようが我々との戦力差は目で見てわかるはずだ。我々の傘下に加われば戦いは終わる。どちらを選択するのもお前たちの自由だ。猶予を3日与えよう。それでも尚、お前たちが我々に刃向かうと言うのならば、央馬の男が言った通り両連合の世界全面戦争となるだろう。慎重に選択することだ」

ガルドはそう言い残すと煙を発生させ、その会議室から煙とともに消え去った。

その場に残った黒虎連合のパサーたちは決意を固めたもののガルドの宣戦布告によってグラつき始めた者がいた。

「本当に戦えるのか?相手は悪魔も天使も従えているんだぞ?ホワイト国とか雷神一族とか風神一族を味方につけても、倒せないんじゃ?」

「なにを言っている!ここで折れたら今までの戦いは何だったのだ!今まで死んだ仲間たちは何だったのだ!」

「もう俺たちは何のために戦っているんだ……。このまま戦えばただ死ぬだけじゃないか!」

混乱状態へと陥る会議にケネスは言葉を下した。


「俺が初めて武器を手に持ったのは、愛する人を守るためだった。白龍兵の残党が家の中に潜り込んだ時に俺の妻はそいつらと遭遇した。その時俺は二人の白龍兵を殺した。白龍兵とはいえ同じ人間。人間を殺してしまったのだ。俺をそうさせたのは白龍兵に対する殺意ではなかった。ただ、そこに守りたい人がいたからなんだ」

ケネスは話しながらガルドとの戦闘で散らかった椅子や物を悪魔武器の能力によって元の状態で元の場所に配置した。

「お前たちは殺したくて人を殺しているのか?違うだろ。守るべきものがそこにあるから戦っていたんだろ。奴らの思い通りに事が進んでしまったら、全ての人類は皆奴らに支配されてしまう。俺は今の生活を、大切な人を、家族を、黒虎連合を守りたい。守るものが無い者は去るがいい。守るべきものを奴らに譲り出すという者も去るがいい。だが、」

ケネスは話を最後まで聞いたパサーたちを見渡して言い切った。


「守りたいものがある者は、俺について来い」


黒虎連合はケネスの決意ある言葉の下、戦う覚悟を決め、世界全面戦争が開かれようとしていた。


その頃、日本長野県の山奥の寺では松田隼人の指導の下、シンが修行を再開しようとしていた。

「次にやる修行は組手だ。加減はいらない、全力でかかってこい」

「うっす!」

松田隼人はそう言うと、シンは勇ましい返事を返した。すると松田隼人は思い出したように付け加える。


「あ、悪魔武器と魔術、それに能力の使用は無しだ」


「全力で来いって言ったじゃねぇか!」

「とにかく武器は使うな。俺も使わん」

「わーったよ。じゃあいくぜ!!」

シンはそう答えると、松田隼人へ向かって攻撃を仕掛けた。





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