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悪魔の継承3  作者: 夜海 来火
第7章 運命の日へと
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117話 新たな勢力

黒虎連合の本部では天使界だけでなく悪魔界までもが白龍連合に支配されてしまったことに対し、緊急会議が行われようとしていた。

その会議には黒虎連合のボス、ケネス・アトワルトをはじめ各パーティの司令塔パサーが招集され、シンが務める豪蓮パーティからはデュージルの後継ぎであるメルタが会議に参加していた。


「ではこれより、黒虎連合第14回緊急会議を始める」


ケネス・アトワルトは参加者全員の着席を確認し、話し出した。

「先日、黒虎連合と交友があった四代目悪魔王及び悪魔城が白龍連合の者に制圧され、白龍連合は天使界だけでなく、悪魔界をも手中に収めてしまった。先月の我々黒虎連合による白龍本部襲撃作戦において白龍連合の勢力は壊滅的になったかに見えたが、今こうしてさらに強大になっている。恐らく次の白龍連合の狙いは我々黒虎連合の及び人間界の支配。そこで意見を頂きたい。白龍連合の攻撃に備えて準備を始めるか、白龍連合が仕掛ける前にこちらが襲撃するか」

ケネス・アトワルトはそう問いかけると、リケッドが所属するパーティ央馬の隊長が挙手をした。

「白龍本部襲撃作戦直後の奴らの勢力はボスであるジラ・バーバリタス、ボス補佐のガルド、そしてバーリルの頭部だけと聞きましたが、その勢力でどうやって悪魔界を制圧したのですか?」

「それについては現場から逃れた者に尋ねよう」

ケネスはそう言うと、その会議に参加していた悪魔界の兵士が話し出した。その兵士は白龍連合に制圧される前に黒虎連合に逃げてきたのだ。

「白騎士と名乗った小隊でした。悪魔界に現れたのは二人でしたが、どうやらもう二人、つまりその小隊は四人で構成されています。二人だけでも圧倒な強さで悪魔王の護衛についていた独立パーティ朱瑩が破れてしまうほどでした」

「白騎士だと?悪魔界に現れた二人とは誰と誰ですか?」

「すみません、私は逃げることで必死で、恐ろしくて、奴らの顔も姿も見てはいませんでした」

悪魔界の兵士は怯えた様子で答えると、ケネスが返答した。

「白龍連合の新たな勢力‘‘白騎士”については諜報部の者が既に調べてある」

するとケネスは恐らく白騎士の名前と写真が載っている紙を机上に置き、読み上げた。

「アルバトーラ・アルドレラ、シドウ、セフェウス・アレリア、デュージル及びゴルガ。以上4名が白騎士の構成員である。いずれも一度白龍連合を脱退したメンバーであり、それぞれ黒虎連合認定の討伐レベルは最上級のSレベル。まさに白龍連合の最後の切り札といったところだ」

「デュージルは白龍連合についたのか!やはり奴は元白龍連合の兵士ということがわかった時点で殺しておくべきだったのだ!」

パーティ央馬の隊長はそう発言するとパーティ豪蓮のメルタは怒鳴りつけた。


「違う!!」


「なに?」

「デュージルさんは自ら裏切ったんじゃない!白龍本部襲撃作戦を行っていたあの日、白龍連合の者の魔術によってデュージルさんは人格を無理やり変えさせられたんです!ゴルガっていう白龍連合に執着していた人格に!」

「どちらにせよ奴は白龍連合側に移った!デュージルだろうがゴルガだろうが、奴は黒虎連合の敵だ!」


「静粛にしたまえ、二人とも」


ケネスの声がメルタと央馬の隊長の言い争いを止めた。するとケネスは話し出す。

「白騎士のメンバーは今話したこの四人だ。白龍連合にはこの四人の他に悪魔界の兵団、天使界の兵団が備えている。敵は強大で圧倒的だ、これに対抗には今の戦力では足りな過ぎる。そこで私はある独立パーティを黒虎連合へ迎え入れようと考えた。紹介しよう。入ってきてくれ」

ケネスはそう話すと、その会議室に三人の者どもが入室してきた。

「彼らは独立パーティ朱瑩の矢崎朱希羅、江川 隗、メルだ。リーダーの松田隼人は今は不在している。彼らに黒虎連合の戦力として参加してもらう」

「確かに独立パーティ朱瑩が味方なら心強い。ですが、たった三人増えたところで戦力の差は変わらないのでは?」

「独立パーティ朱瑩は悪魔界だけではなく、他の国や種族との交流が多くある。朱瑩をはじめあらゆる勢力が黒虎連合を支援してくれる。朱瑩の方に詳細を説明していただきたい」

すると朱希羅が答えた。

「朱瑩は今回、白龍連合に制圧された天使界、悪魔界の他に雷神一族、風神一族、そしてホワイト国とも交流があります。そこで、彼らにも力を貸していただきたいと思います」

「悪魔界と天使界を手中に収めた白龍連合と、ホワイト国と風神一族・雷神一族を勢力に加えた黒虎連合の‘‘世界全面戦争”ってわけだな。それなら我らも奴らと戦うことができるだろう」

央馬の隊長はそう言うと、パーティ赫花の班長が異議を唱えた。

「ダメだ!ホワイト国はついこの前まで統一されていない国だった。それに白龍連合の総大将ジラ・バーバリタスをはじめ、白龍連合にはホワイト国出身が多々いる!裏切り者がいるかもしれないんだぞ!?」

「そのことに関しては大丈夫です。ホワイト国内で白龍連合の行っている悪事は全て明確に明かされています。それに俺たち朱瑩に白龍連合本部の位置、あなた方黒虎連合の襲撃作戦の日時は彼らホワイト国が私たちに教えてくれたのですから。信用はできます」

「裏切り者が出た場合はどう対処するのかね?」

「その場合、責任を持って私、矢崎朱希羅がその者を捕らえます」

「いや、そもそも裏切りが起き被害が出てからでは遅いのだぞ!?」

「彼らの力を無くしては白龍連合には太刀打ちできない。あなたも知っているはずです、敵がどれほど強大か。どんなに危険だとしてもまだそこに可能性があるのなら、その可能性を信じればいいじゃないですか」

朱希羅はそう言い切ると、赫花の隊長は返す言葉を失い、黙り込んでしまった。

そこでケネスは提案する。

「矢崎朱希羅の言うとおりだ。では我々黒虎連合は彼らホワイト国、風神一族、雷神一族を勢力に加えることとする。意義がある者は」

ケネスはそう決定付けると、誰も異論する者はいなかった。

その時だった。


「話は聞かせてもらったよ、黒虎連合諸君」


突如、議席に座っていた女性はそう言い放つと、口を開け、その口の中から手が出てきた。その手は口を広げ、その女性の口から白龍連合のガルドが姿を現した。

「ガルド!!」

「仕留めろ!!」

ある者はボウガン、ある者は銃を使いガルドの体に無数の銃弾と矢を撃ち込んだ。

撃ち込まれたガルドはその場に倒れ込むと、煙のように姿を消し、気がつくとケネスの背後に立っていた。

「……ぬるいぞ、黒虎連合」


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