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悪魔の継承3  作者: 夜海 来火
第1章 混乱の中に動く者
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10話 スカウト

山道の途中、襲って来た悪魔を返り討ちにした俺は山のふもとに辿り着いた。


ふもとには小さな町の跡があったのだが、建物はほぼ壊れていて、誰もいる気配はなかった。


荒廃した町の近くには海があり、山があるというとても自然に恵まれていた場所だった。



「ここか?アザエル。お前の言う俺が行くべき場所ってのは」

『あぁ、この辺りにいると思うんだが……。ん!そこの建物の間にいるな』

「いる?」



アザエルには生物の存在を察知する能力もある。恐らくそれが“自由無き悪魔”の能力なのだろう。




俺はアザエルが指差した建物の間の暗い道へ行くと、そこに黒いローブを着た男がいた。



「久しいなアザエル。そいつがお前の主人マスターか」

『別に俺はこいつを主人マスターなんて思っちゃいないぜ?まぁ、パートナーってとこか。ケケケ』


アザエルと黒ローブの男はそのような会話をしていた。

俺はその黒ローブの声を聞いて、思わず問いかけてしまった。



「あんたは人間なのか?」

「その通りだ。とりあえず今は移動しよう。話は移動した後だ」



黒ローブの男はそう言うと、建物の小さな扉を開けた。

扉の向こうは冷たい風が吹いていて、真っ暗闇の世界だった。所々に松明が壁に設置されているのだが、あまり明るくはない。

どうやら地下に続いていた。



扉を開けてから、黒ローブの男はアザエルに聞いた。


「尾行は無いだろうな?」

『俺の能力をなめるな。伊達に魔神に選ばれし三悪魔メレポレントトライデントをやっているわけではない。気配察知シスペクトを発動し続けていたからな』

「なら大丈夫だな」



黒ローブの男はそう言うと、俺たちはその建物の地下へと入って行った。




その中は寒くて暗い。

階段を降り続け、ようやく俺たちはある扉の前に到着した。



「着いたぞ」



黒ローブの男はその扉を開けると、その扉の向こうはまるで居酒屋のような部屋だった。

酒の臭いが漂っている。



その部屋には赤いソファに寄りかかっている金髪の女性と、酒を入った瓶を片手で持っている赤マフラーの男性がいた。



黒ローブの男は黒ローブを脱ぎ、ハンガーにかけ、その二人に言う。



「おいお前ら、新しいメンバーだ」

「お、キャプテン!マジっすか」



酒を飲んでいた男性はそう言うと、金髪の女性が俺に話しかけてきた。


「で?その子の名前は?」

「俺も知らん」


キャプテンと呼ばれていた男性は答えると、俺はその問いに答えた。



「俺は神谷 真かみやしん。この世で起きている現象を確かめるためにここへ来た。それと、友人を助けるためだ」


「友達を助けるためにここへ来たってか。しかしお前、名前からして日本人だな。日本人がこんな遠くまでよく来たな」

「アンタらは日本人じゃなさそうだな」



俺はそう言うと、酒を飲んでいた男性は答えた。


「俺の名はネヴァ。チャームポイントはこの赤マフラーさ。ちなみにここは日本なんかじゃないぜ?太古の昔、“最強の魔術師”が巨大な悪と激闘を繰り広げた。って言われている山のふもとの町さ。この町は太古の昔から存在しているらしい」

「じゃあここは、遺跡。ってわけだな?」


俺はそう問いかけると、ネヴァは答える。


「そんなもんだな。まぁ、その町の地下を俺らのアジトにしてるんだがな。ちなみに、そこの金髪女の名はトルシャ。で、お前をここへ案内したのが、キャプテンのーー」



すると、黒ローブを着ていてキャプテンと呼ばれていた男性が答えた。


「デュージルだ。気軽に名前で呼んでくれても構わない」

「ここをアジトと言っていたが、ここは何かの組織なのか?」



俺はそう問いかけると、ネヴァが答える。



「なんだお前、パーティって知らないのか?小隊人数で戦闘、殲滅、侵入、作戦を行う小さな組織だ。この世界にはパーティがいくつもある。俺たちもそのパーティの一つさ。今ではパーティ同志で連合を組み合い、二つのパーティの連合軍が出来上がった。俺たちも連合を組んでいる“黒虎連合”と、この世界の謎と関係している組織を主体とした“白龍連合”がな」


するとデュージルが説明し出した。


「そして今ではその二つの連合が戦い合っているというわけだ。俺たちを含む“黒虎連合”は、今、危機に直面している。だが、明日、黒虎連合は全勢力を持って、敵地の殲滅作戦を開始する。その作戦が成功すれば、戦況は大逆転する。手を貸してくれないか。神谷 真かみやしん


「それは、このパーティへのスカウトか?」

「そんなものだ」

「……いいだろう。この世の謎に近づけるなら、協力はする」



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