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-急接近-

「はぁ。」


月曜日になってしまった…


土曜日に楓の男の姿を見てから楓のことばっかり考えている。


ううん。ダメだ!あいつは危険すぎる。


それに、あたしは智の事が好き!!


あたしは、好きって気持ちを封印することはやめた。


付き合えなくても気持ちだけは…じゃないと…


てかちょっと待って!


智は楓のこと気になってたんじゃ…


うぅぅ。なんか複雑すぎる。


とりあえず「楓はダメ、近づかないで」って智にはそれとなく言おうなんて考えてたら


「優紀、俺先に学校行くぞ!あんまりぐずぐずしてると遅刻するぞ!」


「うん!あたしももう少ししたら行く!行ってらっしゃい!」


「いってきま~す」


学校にも兄妹だってことは隠してるからいつも学校に行く時はバラバラ。


ご飯を食べ終わり、あたしは男子制服に着替え、学校用の眼鏡をかけた。


髪は少し長めだから顔は隠れるし女だってばれる事はまずない。


「よし、じゃ俺も行くか」


あえて‘’俺‘’という言葉を口にしてあたしは学校に向かった。

 


学校に着くと、あたしの男装のことはばれてない様子だった。


ひとまず安心。


でも、気になることが1つあった。


智がすでに学校に来ている…でも席にいない。


にしても、智がこんなに早く来るなんて珍しい。


あたしは自分の席に向かった。


あたしの席に誰かが座ってる…えっ?智!?しかも、智が話しているのは楓!


「なんで…」


智があたしに気付いた


「おっ!優紀おはよー!」


「あぁ、おはよ。おまえなんで俺の席にいんだよ…」


「楓ちゃんと話ししたくって、今どくよ」


「あぁ、そう。」


楓もあたしに気付いた。


「あっ!優紀君おはよー」


はっ!?


今、優紀君って…


この学校で優紀って呼ぶのは智とお兄ちゃんくらい。


あとはみんな「副会長」って呼ぶ。


しかも、この前まで楓も「副会長」って呼んでたじゃん。


一体、何たくらんでんの?


あたしは聞こえなかったフリをしてそのまま席に座り、本を読み始めた。


「優紀君、なんか怒ってるのかな?」


楓は智に聞いていた


「優紀があいさつされて返事しないことはないから、たぶん聞こえなかったんだよ」


智は楓にそういい。楓と楽しそうに話を続けた。


楓と仲良くする智にちょっと苛立ちつつ…


でも、やっぱり、女装姿の楓は男とは思えないくらい美人だ。とか思ってしまう。


智が惹かれるくらいだし、あたしは智には釣り合わないな。なんて思って悲しくなった…



授業が始まって、しばらくたつと楓から小さく折られた紙を渡された。


相手にするつもりはないが一応開いてみた。中に書かれてたのは…


「土曜、スーパーにいたでしょ?」


「…っ!!」


あたしは思わず声を出しそうになってしまった。


やっぱり見られた…てか化粧もしてたし女の格好してたから絶対に誰にもばれないと思ってたのに。


よりによって、またこいつに…


あたしは、その手紙をすぐに丸めて机の隅において休み時間に捨てた。


もう、楓には関わらないって決めたんだから!!


幸いにも、休み時間や昼休みは楓のまわりに人だかりが出来るからあたしが楓と関わることはなかった。



-放課後、あたしは智と生徒会に行く準備をしていた。その時


「優紀君!少し時間いいかな?」


楓が、声をかけてきた。


「あっ。ごめん、今から生徒会な…」と言い終わる前に智が、


「えぇ、楓ちゃん。俺にじゃないの?」


と智が言った。


「智、おまえは生徒会行かなきゃ!!上木さん悪いんだけど俺も生徒会あるし今日はごめん」


って言って逃げようとしたら


「楓ちゃん急用そうだし、優紀話し聞いてやれよ。生徒会は先やってるから!」


あぁ、智…。こういうときの智の優しさが辛いな。


智にこう言われたら断れなくなる


「わかった。じゃ、智、先に進めててくれ」


あたしはそう言って楓の話を聞くことにした。まじ、気が重い。あの手紙の事かな…



誰もいない教室に戻りあたしは口を開いた…


「…で、何?」男口調で聞いた


「優紀。さっきの手紙みたっしょ?」


やっぱり、そうだった。「違う!」って言おうと思ったとき、ん?優紀?


「楓!なんで呼び捨てなの?てか、名前で呼ばないでよ」


「え~なんでぇ。智君は名前で呼んでんじゃん」


「智は特別!!」


「じゃぁ、俺も特別にして。てか優紀も、俺の事名前で呼んでんだしいいじゃん」


「…!!」


うかつにも、楓のこと名前で、しかも呼び捨てにしてしまった…


あの事件以来「上木さん」なんて長いから「楓」って頭の中で思ってたことがつい出てしまった…


「コホンッ!上木さん…話ってそれだけ?俺は土曜ずっと家にいたよ。じゃぁ俺は生徒会に行くよ」


「ちょっ、待ってって!話まだ終わってない!」


その瞬間、あたしの腕は楓につかまれ、楓に引き寄せられていた。


楓が近い…///あたしの体は固まり、動けなくなっていた。


「な、なにすんの!?」


楓はあたしの眼鏡を取った


「あの時のやっぱ優紀じゃん…。おれがあんなカワイイ子間違えるはずがない…」


「…///」


今、なんて言った?


カワイイ?


あたしが?


顔がさらに熱くなるのがわかり、頭が真っ白になった。


あたしは、楓から眼鏡を奪い、突き放して生徒会室にかけていった。ドンッ。鈍い音がした。


「…いった…。でも、近くで見るとまぢかわいい…。」


後ろですごい音が聞こえた。


でも、そんなのかまわずあたしは走って去った。


生徒会室に入る前に着いてもまだ動揺していた。少し気持ちを落ち着かせ何もなかった様に入って行った…


「遅くなってごめん。」


生徒会役員はまだ集まってなく、いたのは智だけだった。


「あれ?優紀、早いね。もう話いいの」


「あぁ、どうでもいい話だった」


「ふ~ん。ねぇ、優紀。俺まぢで楓ちゃん好きになるかも」


「まぁ、頑張れば…」


心にないことを言ってしまった。


さっきの楓の「かわいい」って言葉が頭から離れなくて智の言葉が入ってこなかったからだ。




-生徒会が終わり、門を出て反対方向の智と別れて帰宅した。


少し歩くと学校のすぐ近くに公園からブランコをこぐ音がする…


この時間は、夕飯時だし子供もいない。


珍しいなと思ってそっちに目をやると、うちの高校の制服をきた女子がいた。


まぁ、高校生なら別に心配ないかと思って歩き出した…


「…っうきー!優紀ー!!」


「えっ!?」


あたしが後ろを振り向くと楓がいた。


「なんであんたがいんの!?てか、帰ったんじゃ?」


暗くてよかった。


楓だと思った瞬間、さっきの出来ごとが頭をよぎり顔が熱くなったのが分ったから…


「あー。さっきはいきなりごめん。謝りたくて優紀待ってた。あのスーパーで見たから家こっちだと思って…」


春だといってもまだ肌寒い。


それに、あれから3時間以上は経ってる。


しかも、あたしが歩きだなんて知らないはずなのに…


楓にはもう、関わらないって決めてたのに…あたしの気持ちはおかしくなっていた…


「…いいよ。てか、あたしこそ突き飛ばしてごめん。けがしてない?」


「えっ!?あぁ大丈夫…」


楓は驚いた顔をしていた。


あたしだって、驚いてるよ。


自分がこんな奴の事心配してるなんて…


でも、こっちにきてお兄ちゃん以外に女の子扱いされたのは楓が初めてで、しかも謝るだけの為に何時間も待ってるなんて思いもしなかったし、気が動転してたんだと思う…


「あのさ、俺、優紀と付き合いたいって言ったの本気だから…もう1度考えてみてくれない?だから、今週の日曜俺とデートしてほしい!!」


あたしは、声が出なかった。


本気…?でも、今の楓からは本気だっていうのが伝わってくる…


「…わかった。じゃぁ日曜10時にココでいい?」


自分でもなぜこんなことを言ってしまったのかわからなかった。


でも、ちょっと楓の事を知りたかったんだと思う…


「…えっ!?まぢで!?やった!!…優紀、女の格好で来いよな!」


「…!!」


あたしは、小さくうなずくとその場から走って家に向かった。



その次の日から、木曜日までは何事もなかった。


月曜の出来事が嘘じゃないかと思われるぐらいに…


楓は、すぐに友達が出来ていつの間にかあたしが頼まれた面倒係も必要なくなっていた。


智は相変わらず、楓にべったりで話をしている。


あたしは楓が男であることを知っているからなのか、それとも楓に惹かれているのかわからないが、智と楓が一緒にいることがそんなに気にならなくなった…



金曜日の放課後、あたしは生徒会室に向かっていた。


その時、前に楓がいるのが見えた…


あれ以来言葉も交わすこともなかったあたしはなぜか緊張してしまい下を向いてしまった。


気付かないふりして通り過ぎようと思ったのに…


「日曜、忘れんなよ…」


楓は小さな声でそう言い残していった。あたしは、また顔が熱くなるのを感じた。


なぜか日曜日が待ち遠しくてたまらなくなった…



~楓サイド~


月曜。公園から帰って家のベットに寝転がった…


「早く日曜にならないかな…」


俺は帰るなりもう日曜が待てなくてしょうがなかった。


まさか、優紀がデートOKしてくれるなんて思わなかったから。


それに、また、女の姿の優紀が見れるのが嬉しくてたまらなかった…


次の日から優紀と話して「やっぱ、なしにしよう」とか言われるのが怖くて俺は金曜まで優紀に話かけられなかった。


それに友達もできたから、俺の面倒係も頼みにくくなってたし…休み時間は俺の周りには誰かしらいた。


特に最近は智がよく話しかけてくる。


たぶん、俺に好意を抱いてることはわかってるけど、さすがに男に興味はねぇーから適当に相手していた


けど、優紀の唯一の話相手だった智を奪ったような気がして申し訳ない気がしていた。


「最近あいつ笑わないな…」


俺は優紀の事しか考えなくなっていた。


授業聞く姿、本を読む姿はをみるとやっぱりかわいいなぁと思ってしまう。


たぶん、女の格好をしてたら男どもが寄ってきそうだなとか、優紀が男装しててよかったとか考えていた。




金曜の放課後、職員室から教室に戻る途中、優紀が前から歩いてきた。


明らかに俺の顔を見て下を向いた。そんな姿もかわいくてしょうがない…


「日曜、忘れんなよ…」


俺は日曜優紀が来ることを願いながらそう言っていた。


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