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-本性-

放課後、生徒会室に顔を出して教室に戻ってきた。


下校時間を少し過ぎたから校内に残る生徒もまばらで教室には上木さんしかいなかった。


「お待たせ。遅くならないうちに帰らせたいしもう行こ!」


「うん」


広い校内を1周しながら案内をした。


教室ではあんなに元気だった上木さんはあたしと一緒だと口数も少ない…


やっぱ真面目そうに見えるから話しにくいのかな…とか思ってたらいきなり


「あのさぁ、副会長なんで男のふりしてんの?」


一瞬耳を疑った。それを知ってんのはお兄ちゃんと理事長だけ!


「何言ってんの上木さん!俺どう見ても男に決まってんじゃん」


と動揺を隠しつつ普通に返した。なのに…


「実は…春休み生徒会室の前で副会長と先生が話してるの聞いちゃった!あれ副会長だよね?」


あの話を聞かれてた!!


「ち、違う!!」


「嘘つかなくていいよ。俺1度見た人の顔忘れないから」


てことは完全バレてんじゃん…でも確証はない。


「確認なんだけど…どこから聞いてたの?」


「ん~。全部!先生が中入ってくの見てたし」


だって、だって…あの時周りには誰もいなかったしお兄ちゃんだって何も言ってなかった。


あたしの頭の中は混乱していた。


1年間誰にもばれずにやってきたのに、しかも転校生に知られるなんて…


しかも、こんなことばれたらもうここにはいられない。


実家に帰ったらあいつらがいる学校に戻らなきゃいけなくなる……


「頼む。それだけは黙っててくれないかな!!」


あたしはすがる思いで上木さんに頼んだ。なのに、返って来た返事は信じられないものだった


「じゃあさ、交換条件ね。黙ってる代わりに、副会長。俺と付き合わない?俺、男なんだよね」


「………!!」


あたしは言葉を失った。いま…なんて言った?おこと…?つきあう…?


「いま…なんて…?」


「何って。俺、男だし。副会長、女じゃん!!だから付き合ってよ!俺、副会長に興味もっちゃった」


あまりの驚きにあたしは男のフリをしてることもここが学校であることも忘れて叫んでしまった。


「はぁ?あんた何いってるか分かってんの!?てか、大体今日会ったばっかのあんたと付き合えるわけないじゃん!!大体なんで男なのに女の格好してんのよ!」


「あれ?副会長こんなキャラなんだ。」


上木は楽しそうな笑みを浮かべてこっちを見てる。


こいつ絶対あたしで遊んでる。こんなやつなんかと付き合うなんて絶対あり得ない。


「第一あんたも女装してるんだしばれたら退学だよ!」


「別にばれても前の学校戻るし。ばれたくないのは副会長でしょ?」


あぁ、完全に弱みを握られた…。


「…でも、あたしはあんたとは付き合わない」


「じゃ、副会長が俺にキスしてくれたらあきらめるし、ばらさない」


「…!!」


信じられない!!キスだってまだしたことないのに…しかもこんなやつに


「しないのー?じゃ付き合うってことでいいんだね?」


悩んだ末…あたしはバレて実家に戻ることよりキスを選んだ…乱暴なキス。初めてだったのに…


一瞬、智の顔がよぎり涙が出そうになった。


「これでいいでしょ!!もうあたしに関わらないで!!」


あたしはその場から逃げるように去った……


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