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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

魔王スライムは恨みを晴らしたい

作者:

「まさか、最後の相手がお前だとはな」


「その驚きが見たかった。勇者よ」

無意識に口角が上がってしまう。


「何千、何万回とお前を狩って俺は強くなった。今さらお前を狩ろうとは思わない。降参しろ。結果はわかっているはずだ」

堂々とした態度で勇者は言う。


「よくそんな大口が叩けたものだ。我は今までのスライムとは違う。貴様らに狩られた何千、何万もの同胞の恨みによって覚醒したのだ」

怒りでつい口調に力が込もってしまう。


「そうか、それでも俺はお前を狩る。平和のために」

勇者は落ち着いた態度で返す。


「何が平和だ。貴様らはレベルアップのためだと訳もなく我らを狩るじゃないか。そんな人間ごときに平和を語る資格があるとでも思っているのか」

こみ上げる怒りを抑え、魔王としての威厳を見せつけてやる。


「お前ら魔族こそ意味もなく俺たち人間を脅かし、支配しようとしているだろ。俺は人間のためにお前を倒す」

意思のこもった目でこちらを見つめてくる。

なんと目障りな奴なんだ。早く倒してしまいたい。


「それがお前の主張か、しかし我ら非力なスライムが貴様らを襲うことなどあったか?ないだろう。他の魔族だ。しかし我らは狩られ過ぎた。今、その恨みを晴らすとき!」

威勢よく言い放つと目にも留まらぬ早さで勇者の顔面めがけて体当たりをした。

頭に鈍い感覚が走る。

勇者よ我の早さに対応できなかったか。

勝利の笑みを浮かべる。

しかし何故か視界がぼやける。

体に力が入らない。

力なく体が落ちてゆく。


「やはり所詮はスライム。魔王といえどこんなものか」


最期に目に映ったのは我の血のついた剣を鞘へとしまおうとする勇者の姿だった。

ああ、なんと力なきことよ。済まない。同胞よ。魔王スライムが薄れゆく意識の中で最後に思うのは先に散っていった仲間達のことだった。


勇者は彼に一瞥もくれず去っていった。


そして人間界には平和が訪れた。

そこにスライムは一匹もいなかった。

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