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魔法少女と願い事  作者: 天然無自覚天然難聴主人公
第十話 『魔法少女と願い事』
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魔法少女にウサギの耳

 私は模倣の魔法少女に向かって走り出した。当初の予定では私と拷問が前線で戦い、ひよりに攻撃の遅延をしてもらう予定だったが、攻撃力の高い半分仲間みたいな存在が増えたので、急遽援護に回ってもらった。拷問には秘策があるため、死なれては困る。


 出た釘を打つように彼女は攻撃の対象を私と灰色の魔法少女中心にする。勿論彼女は通常か全体攻撃のようなものなので後方の二人にも脅威は飛んでいく。


 灰色の魔法少女も剣が飛んでくる攻撃には慣れたようで、側面を殴って叩き壊しながら直進して行く。負けじと私も位置を入れ替えて距離を埋めて行く。視線で捉えられれば入れ替えは可能。今の私ならこの物量の中を進む事も可能。


 剣が私の横を掠め、目の前の剣と入れ替わる。ベランダの植木鉢入れ替わり、投げ込んだキューブと入れ替わる。言うなれば縦横無尽。全ての空間を自由に使う。


「やるじゃねーか! 負けてらんないなッ!」


 振り下した拳が地面を揺らし、埋もれていた剣や瓦礫を巻き込んで打ち上がる。降ってくる剣とぶつかり、一時的に辺りに剣が地面を突き刺すことはなくなる。その隙に身を屈め、前傾姿勢を保ち突き抜けて距離をつめていく。彼女の強さもまた一段と高くなっている。


 だが、それでも敵の表情は一切歪まない。少し鬱陶しそうに絡みつこうとする鎖を裂くだけである。


 その間に私と灰色で位置を確認しつつ、距離を詰める。同じく挟むような形、そして同じ様に攻撃する直前で盾が現れる。ここまで同じ展開だが、ここからが違う。私は目の前に現れた盾を見向きもせず、その奥にいる灰色の脚を見た。


「インヴァート!」


 その声と同時に視点が入れ替わり、私の目の前に現れたのは大きくていかにも固そうな盾。一応ステッキを力いっぱい突き出すが、帰って来るのは鉄に弾かれる固い感触が腕に伝わり、手が痺れる。だが、向こうは違う。その盾は私のために作られ強度の無いた盾。彼女なら簡単に壊せる。そう思った矢先、鉄の砕け散る音と衝撃波が私を通り過ぎていく。


「ディレイ!」


 そのひよりの言葉により何らかの力で吹き飛ばそうとしていた模倣の魔法少女の行動が止まる。だが、それは一秒にも満たなかった。部位や規模によっても効果時間が変わると言っていた。全身を対象にすると一秒間しか持たないようだ。だが、それは十分な隙だ。


 盾の向こうで大きく鈍い音が響く。大きく殴り飛ばされた彼女は空中で体勢を立て直し、綺麗に着地する。


「やっと目が覚めて来た……朝は苦手……」


 そう言うと模倣の魔法少女は大きく腕を広げる。周囲を漂うオーラが一層渦を巻いて禍々しいものとなる。薄い服が風によって翻り、その服の下に隠された色白の肌と無数に埋め込まれたクリスタルをいたずらに見せる。するとお腹あたりにあったクリスタルが輝きを放ち始め、模倣の魔法少女にウサギの耳と尻尾が生える。


「探知系の能力は持っていないの。いたって真面目」


 と言われるが、その姿は戦場に似合わない可愛さだ。だが、所詮は動物の能力を借りただけの探知。音が聞こえやすくなったからと言ってそう変わる状況でもない。


「コスプレしてエッチな事をするなら二回目がいいです。やはり一回目は……」


 拷問の魔法少女が自論を展開するが何も聞こえないふりをしてやり過ごす。そんな中でも模倣の魔法少女は着々と目を覚ます。空には人が通れる隙間さえない量の武器が今にも降り注ごうと顔を出し始め、彼女を中心として辺りが重力によって押しつぶされていき、彼女にとって戦いやすい平地へと変わっていく。


「……あの体に埋め込まれたクリスタルと、クリスタルの王冠を破壊すれば能力は使えないだろうな」


「でも、それだけは完全に防いでくるよ。遅くされるのは気にも留めてないけど、攻撃されるってなったら一瞬で抵抗される」


「複数使用が痛いですね。攻防同時に出来るので……」


 狙うならまずは王冠の方だろう。アレを破壊するだけでも数十個の能力は消せる。そこに重力などの強い能力があるか分からないが、減る分には得である。


 思考を張り巡らせていると、悪寒が私たち全員を凍えつかせた。彼女は両腕を広げ、何もしていない。だが、全身のクリスタルと王冠が光り出し、次々と彼女の能力が行使されているのは分かる。


「近代武装、レールガン。氷結領域。ぬるぬるローション。竹林。密林。森林。気圧変動。キャットアイ。鹿角……重い……取り消し。地雷。バナナトラップ。並列思考。音声遮断。音楽再生。貫通特化。身体再生。痛覚減少。未来視。結界。眷属召喚」


 まるで天変地異。街は完全に元の姿を失い、凍える風が吹き荒れ、木々の生い茂る視界の不良なフィールドへと成り代わる。様々な動物が地を這い、空を飛びながら、私達の様子を窺い、ぬるぬるとしたローションがゆっくりと垂れ落ちるている場所もある。


「幻影。現実浸食。混ぜるな危険。成長促進。チャーム。ステータス表示。料理上手。敏感性アップ……寒い。織物、毛布生成。鉄鋼糸。王の椅子。あと、なんだっけ……」


 彼女は堂々とした大きな椅子にちょこんと座った。毛布に包まり、美味しそうなお菓子を食べながらウサギの耳をぴょこぴょことさせる。異様な光景だ。私の立っている場所も相手も全てが今までと違う。だが、やるしかない。殺すしかない。私は彼女へ向かて走り出した。続くように各自が動き出し、彼女の下へ向かう。


 だが、流石に彼女の領域だ。全く近づけそうにない。空気が薄く、寒さと足場の悪さで体力が削られて行く。どれだけ息を吸っても満足な空気は得られない。胸が苦しい。襲ってくる野生生物と眷属ごと刺し殺す剣を避けるので精一杯だ。


 身体が重い……全身が寒い……ローション身体に纏わり、気持ち悪い。


 他のみんなも攻撃はあまり受けていないが、環境的なダメージが大きい。灰色の魔法少女は比較的に近づけいるが、足元の氷とバナナトラップに脚を取られ、滑り落ちていく。体力だけが搾り取られている。


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