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魔法少女と願い事  作者: 天然無自覚天然難聴主人公
第九話 『愛の共同作戦』
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じゃあ早速頼るね

 早速路地裏を後にしてマンションの屋上に降り立つ。ここは空気が綺麗だ。心呼吸をして心を落ち着かせ、拷問の魔法少女に目配で合図を送る。すると、彼女が携帯する鉄の処女が段々と肥大化していき、遠くからでも見渡せそうな大きさになる。鎖を一捻りするが全く動きそうにない。そう思った瞬間、それは軽々と空中に浮き上がり落下する。


 マンションの屋上に大きな罅が全体に入り、それが落下した地点は大きく抉れている。この轟音と共に、開戦の火蓋は切られた。彼女は戦いのある所に引き寄せられるようで、大きな音を立てれば大抵やって来るという。


 そして、数分もしないうちに第二の太陽が昇る。手で拷問の魔法少女に合図を送り、どちらもタイミングを見計らう。激しい光の中心にステッキを向け、唱える。


「インヴァート――!」


 視界の全てか青空へと変わる。前から来ていた光は後ろから私を照らす。だが、振り返るとその光は閉ざされた。


「シュラハトハウス・デア・メンシェン……! 拷問とは時に命を落とすのです――」


 三叉型の建物のようなものが屋上の上に現れていた。人一人を殺すためではない大きさだ。そして少し離れた上空からでも伝わってくるその建物の恐ろしさ。何人もの怨念がそこには巣食う。


 そんな事を考えながらも私は屋上のキューブと入れ替わり無事に着地する。起き上がってその建物を見ればどこまでも大きく見える。実際にはそこまで大きくはないが、その中から伝わる圧が私を小さな存在として威圧してくる。


「これは実際の刑務所をモデルに編み出した技です。一つの拷問というわけでなく、この中で受けられる苦痛を全て与える事ができます」


「け、刑務所なの!? 拷問所とかじゃなくて……!?」


 厚い壁の奥から微かに聞こえる叫び声。中に入れられたのは一人のはずだが、その声は何重にも重なって重く、冷たく、激しい感情が入り交じる。寒気さえ感じる。だが、これで終わるわけがなかった。その寒気は一気に熱波へと変化し、暗く中の見えない地獄の底のような場所から光が差す。


「エレクトロ・サンバースト!!」


 微かな叫びの中からハッキリとした声が届く。刹那、衝撃波が身体を浮かし、建物の中心から崩壊していく。そんな瓦礫の中に光輝く魔法少女がそこに立ち尽くしていた。手足に付けられた枷を引きちぎり、顔に付けられたであろう謎の金属仮面を剥がして首を回す。


 ハッキリとその姿を見るのは初めてだが、随分と背が小さい。小学生ぐらいだろうか。十歳から魔法少女になることが出来るのでその線も十分にある。その場合は難しい技が無く、案外殺しやすい。


「まぁ、そうだよね。予想通りだよ!」


 私はステッキを構えて相手の動きをじっと見る。相手は『光の魔法少女』彼女の能力は環境形である。つまり、あの光に晒されたところで私のクリスタルは破壊できない。だが、クリスタル以外の肉体は消し飛ぶだろう。二度の登場でも彼女は光の速さというわけではなかった。つまり、彼女自身は光になれない。光を放つことしかできない。


 今までの情報から推論を立て、彼女を攻略するための手がかりを探し続ける。そして、彼女を殺す算段を立てる。今回は一人ではない。だが、私にとって共闘初めてだ。協力しあい、一対一での殺し合いの経験はあるが二人で一人を殺しに掛かることは初めて。


 いつか強い敵が現れた時にひよりとの共闘を視野に入れ、戦い方を学ぶ意味も込めて彼女を誘ったが、正直動きづらい。今ここで二人で戦うデメリットを知る事は今後に大きく関わるだろう。


「私は貴方に合わせます。防御などもお任せください」


「分かった。じゃあ早速頼るね」


 その言葉を聞いてか、嬉しそうな返事が返ってくる。私はそっと光の魔法少女にステッキを向けて唱える。視点が変わり、眩しかった光は後光となって私を照らす。そして少し遅れて激しい戦闘音が広がる。


「合わせると言いましたけど……!」


 合わせると言うよりかは押し付けに近い。私と光の魔法少女が入れ替われば拷問の魔法少女の隣へ一気に距離を縮められる。そしてお任せするという魂胆だ。


 予想通りに二人の戦闘は始まり、私はその様子をじっと眺める。そして、拷問の魔法少女が鉄の処女で上から押し潰そうとした瞬間、彼女と勝手に位置を入れ替えて上を防御する光の魔法少女の隙を突こうとするが、技の発動間隔が短いようでサンバーストで防がれる。だが、連撃は終わらない。彼女の背後に黒い影が差し込み、扉が閉まっていく。


「いらっしゃい……!」


「ッ! サンビーム」


 分厚い鉄の処女を貫通し、その光線は向かいのビルにくっきりとした穴を開ける。そんな事に驚いている間にも戦闘は流れ、眩い光の爆発が終わると光の魔法少女の四肢が鎖で拘束されていた。そして、彼女の目の前には一つの椅子。私は察してその椅子に走り出し、呪文を唱えた。視界が変わると同時に踏み出した足は既に彼女の間合いに入り込んでいる。そして、その勢いを保ったまま腕を前に突き出す。


 彼女はそれを避けることなく受けた。だが、突き刺さる感覚はない。勿論血が出る事もない。


「残念だったな! 私は光となれる!」


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