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六郎の村(2)

 遼河は三日ぶりに下の屋敷への同行を求め

 遼河はそれを不思議そうに眺めた

 店の土間には売れ残りの商品が並んでいた。

 仕入れ役の仙原一蔵はこの三日間は上の屋敷にいたはずだった。

 いつの間に仕入れを・・・遼河は疑問に思った。

 そんな疑念を持った遼河の表情に気付いたのか、その顔に向かって仙原一蔵が軽く顔を横に振った。

 それは何も訪ねるな。と、いう事であろうと遼河は受け取った。

 ここには何だかの秘密がある・・その日から遼河はそう感じ取った。

 それでも遼河はかえでを連れて行く当てもなく、ここに留まらざるを得なかった。

 そして、その日以来一蔵は遼河に目配せをすることが多くなった。


 それから十日ほどが経った夜。遼河は珍しく本屋敷の集会所に呼ばれた。

 そこには三人の男と二人の女がいた。

 鳥尾六郎はにこにこと笑いながらそこに座ることを勧めた。

 「今回、鬼狩りに行く者達だ。

 汝もいずれは参加してもらはなければならぬ故、紹介しておく。」

 六郎はそこにいる者達に顎をしゃくった。

 すると、一人一人が自身の名を告げた。

 片瀬盛綱と蔵内政孝は稽古場で見知っていた。それに二人の女も・・・

 だが池波平蔵(いけなみへいぞう)と名乗った侍は初めて見た。

 その男は強そうに感じた。

 「彦山に鬼が出たという噂があった。

 何でもそこの僧侶や山伏が壊滅したという話しだ。

 今回は鬼狩りでなく、そこの視察をしてもらう。」

 六郎は静かに話した。

 「その鬼は何体でしょうか。」

 すぐに片瀬盛綱が問うた。

 「何も解ってはおらぬ。只そこにいた全ての者が殺されたという事だ。

 しかも、そこから続く村も襲われたらしい、その真偽の程を調べてくれ。」

 そう言うと六郎は幾ばくかの金を盛綱の前に置いた。

 「当座の資金だ。」

 六郎はそう言い、五人はその場を立ち、遼河もそれに倣おうとした。

 それを六郎は押し止めた。

 「頼まれて鬼退治をすることもあれば、今見たように我等は金にならぬ事もする。

 汝もその隊に加われるよう精進して欲しい。」

 「しかし私には・・・」

 そう言いかけた所で、同席し奥の薄暗い所に座っていた一蔵が静かに首を横に振り、遼河は口を閉ざした。

 「何か障りでもあるかな。」

 六郎が尋ねた来た。

 「ありません。」

 遼河はそう答えた。

 集会所から帰る道すがら、一蔵が話しかけてきた。

 「何でもハイ、ハイと応えていた方が宜しゅうございます。

 いらぬ言葉は猜疑を呼びます故・・・」

 一蔵は遼河の肩をポンと叩き、

 「あの子の事は私に任せて下さい。」

 と、言葉を残して仙丸が眠る小屋に帰っていった。

 それから、遼河と一蔵の距離は急速に近くなっていった。


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