童話 かわいくなりたい石と女の子のリボン
その石はかわいくなりたい。
つるつるしていて、かざりけのない自分が嫌い。
だから、苔をまとってみた。
でも気に入らない。
だったらと、花を乗せてみた。
それもなんだかしっくりこない。
砂をまぶしてみた。
ちょっと水ぼらしくなって、逆効果な気がした。
かわいくなりたい石は、人間の女の子が身に着けているリボンをみつめる。
あれは、人間のためのかざりだから、石には似合わない。
そう思っても、女の子が落としてしまったリボンを手に取って、身に着けた。
そしたら、他の石たちが、かわいいといってくれた。
人間の装飾品なんて石には似合わないと思っていたけれど、案外悪くない。
その可愛くなりたい石は、そう思った。