5. 決闘!千雷vs三戸 1
4話で何点マッチか書くの忘れたので、セリフを一部変えてます。
5点、3分マッチです。
試合が始まった。
「いけえええ、三戸やっちまえええ!」
「新入生、負けるなああ!」
外野は、これ以上にない盛り上がりを見せている。そんな周囲の反応とは裏腹に、千雷の頭の中は真っ白、軽いパニックに陥っていた。
どうする、、ここで負けたら高校卒業まで一生ネタにされる、、、ここで負けたら、咲にはもう振り向いてもらえないのだろうか、、ここで負けたら、ここで負けたら、ここで負けたら、、、
そんな考えが堂々巡りしていた。そうなるのも無理はない。千雷当初のプランでは、、
1.やい!ゴリラ!俺が成敗してやる!ゴリラ「ウッほおおお!なんだとおお」咲「千雷くん!?」
2.どりゃああ!千雷がゴリラ相手に、超絶プレイで華麗に翻弄し、圧倒的勝利を飾る。ゴリラ「なんだとおおお、やられたー」咲「すごい、なんてかっこいいのっ、メロメロ」
3.千雷と咲が無事付き合う
こんな天才的?なプランであった。
それが、三戸のせいで学校中を巻き込む大イベントになってしまった。
この図太さレベル100と言っても過言ではない千雷と言っても流石に動揺していた。普段は、いつも自信で溢れている千雷であるが、、自信喪失というよりもあまりの急展開についていけないという様子であった。この動揺が、千雷を負の思考のサイクルに導いていた。
「そっちから来ないなら、こっちから行かせてもらうぞ」
その瞬間、三戸は千雷との距離を一気に詰める。
その三戸の言葉と動きで、一気に思考のサイクルから現実に引き戻される千雷。
「くっ!!」
転びそうになりながらもも、素早い後ろへのバックステップで、すかさず距離をとる。
ほう、、三戸はこのやりとりの中で、千雷の驚異的な身体能力、危機察知能力を見抜いた。
(やつは、今明らかに試合に集中していなかった。表情、そして、試合開始から足を全く動かしていなかったことから明らかだ。だが、自身の身体能力と反射だけで、一瞬で距離をとってみせた。)
予想以上にポテンシャルのありそうなやつだ。そう三戸は舌を巻いた。だが、
「不注意はいけないな。小僧」
そういうと、三戸は腕をひきながら、短いマルシェ(前へのステップ)をした。
(この間合い、さっきの距離よりも遠い、、ように感じる)
千雷は、自分の剣と三戸の剣の距離を見てそう判断し、さっきのように下がらないで様子を見ることにした。
そんなことより、クソっ、、なんださっきのだせえ下がり方は、、あと少しで転びそうだった、、、咲さんだって見てんだぞ、あれ咲さん見てんのかな
その瞬間、視界に移っていたはずの三戸が消えた。
(あいつはどk、、)
その瞬間、右の胸に強い衝撃—ズドン
ピイイイイイイ!!得点を告げる音が鳴り響く。ついたのは赤ランプ。
「attaque、touche!!1-0!!」
「うおおおお!今のなんだ?すげえええ」
「メッチャはえー!!」
「めちゃくちゃ体沈み込んだな。三戸あんなゴリラみたいな顔してんのに、柔軟性すげえな!!」
観客の熱狂とは異なり、千雷はひどく困惑していた。
(は?なんで?さっきより遠い距離だったはずだ、、、)
「こんなもんか、小僧!」
「っ!うるせええ、まだまだこれからだああ!!」
とは言ったものの、この状況と、自分の予想を上回る、理解のできない三戸の攻撃。
千雷の思考はいつも通り働くわけはなかった。
―――
「千雷、ダメだな。これじゃ完全に口先だけの男になっちまうぜえ」
渡邉が呟く。
「ああ、完全に試合に集中できてない、、、」
折笠も額を手で抑えながら、ため息をついた。
「en garde!Etes-vous prêts!Allez!」
安の審判によって、2点目が始まった。
その時、
「あなたたち、千雷くんの友達なんだよねっ?」
横から、誰かに話しかけられた。折笠と渡邉が目をやると、そこに立っていたのは咲だった。
「あ、ああ、、千雷のだちの折笠と」
「渡邉だ!」
「それで、なんのようかな?咲ちゃん、だっけ?」
咲は困ったような顔をして、折笠にいった。
「いやっ、なんていうかっ、もう私にかまわないように千雷くんに言ってくれないかなっ、なんて」
「え?」
「ほら、いきさつはわからないけど、この決闘騒ぎも私がらみらしいし、、」
咲は、下を向きながら、折笠や渡邉の目を合わせないようにして、言った。
「私が振っても、好意がないことを示しても諦めてくれないし、、だから、言ってほしいの、、」
あちゃー、こりゃだめか、折笠は心の中で呟いた。
「まず、入学したてで、一目惚れで告白とかあり得ないの、、なんか軽いというか、そういうところが好きじゃないのっ、あと喧嘩っ早いところとか、、」
「…」
ピイイイイイイイイイイイ、「attaque、touche!!2 -0!!」
「まあた、同じやつでやられてんじゃねーかよおお!!」
「おい!!新入生!!もっと気合いだせええ!」
観客が騒ぐ
「っるっせええええ!黙ってろ!!」
それに千雷は叫び返す。
「咲ちゃん」
折笠は咲の目をみて言った。
「まあ、そうだよな、ははっ、あいつは確かに喧嘩っ早い、礼儀も知らねーし、惚れた女にすぐ告っちまう。そういうところは確かに軽いと思われても仕方ねえ」
だがな、そう言いながら、折笠は千雷の方を見て言った。
「あいつは一本芯の通った男だぜ」
折笠はめいいっぱい息を吸った。
すううううううう、
「せんんんらあああああああい!このまま負けたら承知しねえええええからなああああ!!!!!」
お、俺も!っと渡邉
「せえんんらああああい!!お前、ち○こついてえんのかあああああ!!!」
ワハハハハハハハハ、
「ち○こ!だってよ!!ち○こ!」
「いやあああ、下品!下品!」
場内が笑いと悲鳴に包まれる。
「あれ、俺またなんかやっちゃいました?」
「お前ってやつは、、、、」
折笠が呆れる。折笠が千雷の方へ目を向けると、プルプルと震えていた。まさか、あまりの怒りで、、、、折笠は背筋に冷や汗が通るのを感じた。
「お前らあああああ」
やっぱり、何かあいつの琴線に触れたのか!?
「お前らってほんと馬鹿だなあああ。ち○こってなんだよ、ち○こって。ギャハハははは」
「なんだとお、千雷いい!」
折笠は内心ほっとするのであった。
むっ、千雷が横に目を向けると、、そこには咲さんが!!!
「さあきさああああん!見ててください!!今からこの千雷、世紀の大逆転しますからあ!」
「う、うん、、が、がんばって、、」
咲は後退りながら、細い声で千雷に言った。
そうだ、咲さんも見ててくれているんだ!!絶対に勝ってやる!!
ばしっ、ばしっ、ばしっ
千雷は自分の顔を何度も何度も、両の手で叩いた。
「うおおおおおおおお!やってやる!」
やってやる、やってやる。千雷は三戸を指差しながら、
「ゴリラ、俺はお前をたおおおす!!」
三戸はふっ、と笑いながら、、
「やっと調子が出てきたのか。かかってこい!」
そう言ったのだった。
PV100突破!
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