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0.04 BOYS  作者: 杉浦このは
3/5

3. 千雷!撃沈!

「ほほう?つまり君は、俺に喧嘩で勝てるわけがないから、フェンシングをするということかね?」

千雷は嫌味に大男にいった。

「さっきも言っただろう?喧嘩は紳士の行うことではない。俺は、誇りをかけた決闘はフェンシングでする。そう決めているのだ」

折笠と渡邉は、二人の剣呑な空気を感じていた。

「そうか、乗ったぜ、お前の決闘。だが、ハンデはいらねー。ハンデのついた決闘なんて意味ねーからよ。」

「よほどフェンシングをバカにしているようだな。ハンデをつけた上で、お前のつまらんプライドをへし折ってやろう、そう言っているのだこの猿が!!」

「んだとおおおおお!!」

もう二人の対立は、折笠と渡邉に止められるものではなかった。誰か、助けてくれ!!そう思った矢先思わぬところから、救いの手が差し伸べられた。

「三戸部長!そんなに叫んでどーされたんですか?」

大男、もとい三戸の後ろから出てきたのは、何を隠そう、千雷の恋の相手、谷塚咲であった。

「さ、咲さん!?」

思わぬ咲の登場で、千雷は先ほどの怒りを忘れ、狼狽えた。

「せ、千雷くん?ど、どーして、こんなところにいるの?」

咲も同様、かなり狼狽え、その顔は引き攣っていた。それはそうだろう、昨日振った相手が、翌日目の前にいるのだ。気まずいに決まっている。

「どーした谷塚。この猿と、知り合いなのか」

三戸は咲に聞いた。

「え、ええ、まあ、、、いろいろありまして、」

咲は、引き攣った笑みで答えた。

「咲さん、考え直してくれましたか!この千雷、フェンシング部の悪きゴリラからあなたをお迎えに上がりました!!さあ、僕の手を!!」

千雷は、先ほどの怒りはどこにいったのか、恥ずかしげもなく、超絶恥ずかしいセリフを口にした。

『!!』

それにいち早く反応したのは、折笠と渡邉である。三戸は確かに、ゴリラと言われれば、ゴリラである。体格といい、顔といいゴリラであった。そう思うと、緊迫した修羅場といっても、悪ガキ二人、笑いが止まらないのであった。

「なんだとおおお!ゴリラとは俺のことか!!」

「わかってんじゃあねーか!ゴリラ!!咲さん、さあ、こちらへ!」

「ぶ、部長、、これはどのような状況なんですかっっ、」

もちろん、ついていけない咲であった。

「ああ、この猿が俺の愛するフェンシングをこけにしやがった。だから、フェンシングでこいつのプライドをへし折ってやることにした!!」

「ああ!?あんな棒突きで俺を倒せるかよ!咲さん、僕がゴリラから解放してやります!!」

三戸へ敵意を向けつつも、咲へ熱烈なアプローチをかける千雷とは裏腹に、咲の千雷への視線は冷たくなっているのを、折笠は感じていた。

「千雷くん」

咲は今までにない、低い声で千雷の名前を呼んだ。

「私の好きなものをそう馬鹿にする人は、かっこいいとは思えないかな、」

そうして咲は体育館へと戻っていった。

ヒューーー

春なのに、悲しい風が吹いた。

三戸でさえ、千雷を気の毒そうな表情で見ていた。

「せ、千雷といったか、あのなんか、うん。もう帰ってもいいぞ」

だが、灰と化した千雷には届いていない。千雷の頭の中では、咲の「かっこいいとは思えないかな」だけが永遠と鳴り響いていた。

その時、折笠が千雷の耳元で囁いた。

「おい、千雷。ここでひいたら、負けだ」

「!」

千雷の耳がピクっと反応した。

「ここで、部長にフェンシングで勝てば、咲さんはお前に惚れるんじゃねーか?」

「!!」

千雷の体がビクッと反応した。

「だって、咲ちゃんは強くて紳士な男が好きなんだもんなあ。お前が部長に勝つということは、お前はフェンシング部の中で一番強くて紳士な男ってことにならねーか?」

「!!!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

千雷が叫んだ。身体中の血液が脳へと行き渡り、心臓の鼓動が動き始めるのを、千雷は感じた。

「うおっ、千雷が生き返った、千雷が生き返った!おい、折笠!なにを言ったんだよ!」

渡邉がはしゃぐ。

「ちょっとな恋愛のテクってやつ?それを千雷に教えてやっただけだよ」

折笠が得意げに言う。

折笠としては、二人の喧嘩に巻き込まれたくはなかった。しかし、それ以上に、親友である千雷の落ち込む姿を、これ以上見たくはなかった。

「おい、ゴリラ!!お前を倒し、咲さんを惚れさせて見せる!!もちろんハンデなしでだ!ハンデで勝っても咲さんは惚れてくれないだろうからなああ!」

千雷が高らかに宣言する。

もうもはや、三戸には、どのような話の経緯で自分を倒す=咲を惚れさせるになったのかはわからなかった。千雷はムカつく男だ。ムカつく男であるが、しかし、何かタフさというか、泥臭さのようなものを感じた。だから、ハンデを付けて負かし、絶対的な力の差を見せつけたとしても、この男が折れることはないだろうと確信した。

「いいだろう、俺の誇りをかけて、お前を倒す!全力でかかってこい!!」

一人の漢は自分の好きな女を惚れさせるため、もう一人の漢は自分の誇りを貫くため、決闘が始まろうとしていた。

「ああ、猿。一つ言い忘れていたことがある」

「?」

「ゴリラはやめろおおおおおお!」



千雷は桜木のようなキャラクター、三戸は赤木のようなキャラクターです。パクリです。だけどあまりに、この2人のキャラクターが好きなので、僕の作品でも登場させてください。お願いします。

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