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恥ずい

 オレの席のお隣さんは、とにかく腹ぺこ女子だ。

 

 

 今まさにお昼が終わったというのに、まだ満腹ではない模様です。

 

(早く帰って唐揚げ食べたいなぁ。今からでも食べたいなぁ)

 と言っておりましたので。

 

 

 そして、毎日腹ぺこの望月さんにはとても美しいお友達がいる。

 

 どうやら、望月さんと見沢玲那(れな)()さんは幼馴染でもあり、親友でもあるそうだ。

 

 生まれた時から高校までずっと一緒なんだそうだ。

 

「理衣、帰ろっ!」

「玲那実〜、お腹空いたね!帰ろ帰ろ」

 と望月さんは、幼馴染と帰って行った。

 

 

「望月さんって、痩せたらキレイなんだろうなー。ま、でも玲那実さんのいい引き立て役になってるからよしとしよう‼︎」

 

 ‼︎

 

「おい、それはひどいだろうよ。ってかどっから湧いてきた⁉︎」

 

 オレの横にいきなりトオルが現れた。

 トオルとは、オレの席の後ろに座っているやつだ。

 

「湧いてきたって…人を嫌な言い方するよねー」

「まぁ、人のこと悪くいう奴はいつか同じことをされるってことだよ。」

「はぁー、なるほどー。佐藤くんは望月さんが好きなんだぁ?」

「はぁっ?なんでそうなるんだよ。」

「だってー、引き立て役とかいったから怒ってんだろ?」

 

 …

 

 返す言葉がない。

 

 …

 

「えっと…いや…そんなことないし…?」

 

「わっかりやすー‼︎もしかして佐藤ってデブ専?」

 

「はぁ?ってかお前…ほんと女子から嫌われんぞ?」

「ハハッ」

 

 笑いながらトオルは、行ってしまった。

 

 ったくよ…言葉選んでしゃべれっての‼︎

 

 

 

 オレもからあげ食べたくなってきたし、コンビニ寄って早くかーえろっと。

 

 

 コンビニに入り、からあげを買おうとしたけど…甘いものも食べたいなぁとお菓子コーナーへと立ち寄った。

 

 ‼︎

 

 こ、これは…

 

 オレは苺ミルク味のキャンディを手に持ち顔を赤らめた。

 

 昼間望月さんが、サトウくんとのファーストキスの味は、苺ミルク味でした!とか冗談言ってたから…そりゃ、思春期にそんなん言われたらさ…照れるってか…ね?

 

 あー、恥ずい恥ずい‼︎

 

 オレは苺ミルク味の飴を戻していつものコーヒーミルク味を手に取りからあげを買って家へと帰った。

 

 家に帰りきちんとうがい手洗いをしてから飴を一粒口に入れた。

 

 あー、これこれ!やっぱりコーヒーミルクでしょ!と一人感動。

 

 …あ、でもからあげ先に食べればよかった。

 飴終わるまでからあげ待て状態じゃん‼︎

 

 仕方なく飴を堪能してからからあげを食べることとした。

 

 望月さんも今頃からあげを…ってか、なんでオレは望月さんのことを考えているんだ…

 

 まったく。

 

 …

 

 よくわからなかったけど、トオルの言ったようにオレって…もしかして望月さんを…⁉︎

 

 …いや、ナイナイ。

 ないよ…。

 

 …きっと

 

 …たぶん

 

 そんな意識するとか…ないない!

 と、なぜか必死に心を誤魔化すオレなのでありました。

 

 

 

 そんな次の日、また朝から腹ぺこな望月さんが登場してきたかと思うと、席につくなり

 

(あー、食べ過ぎたかも〜なんで磯辺もちってあんなに美味しいんだろう〜ついつい六枚ペロリだもんね〜磯辺もちのお布団で寝たら幸せだろうなぁ。お腹空いたらパクってすれば布団から出ないでご飯食べられるじゃないのぅ〜‼︎)

 

 と…

 

 六枚ってすごいな…

 

 ってか、食べ過ぎたってわりには…お腹ぐぅ〜っていま望月さんから聞こえてきたような…?

 

(あ〜、お腹鳴っちゃったぁ。来るまでに歩いたからカロリー消費しちゃったんだわぁ)

 と、ワタワタしている望月さん。

 

 …ここは、気づかないフリをしておこう。

 そう思っていたら望月さんがオレをツンツンとしてきた。

 

 ?

 

 振り向くと望月さんは、

「さっきのは…お腹空いて鳴ったんじゃなくてね…その…アラームが鳴っちゃったの」

 と。

 

 か、かわいい。

 しかもその恥ずかしそうな顔がまた、たまらない!

 

「あー、何もきこえてないよ。大丈夫だよ」

 と、笑ってみせた。

 

 すると望月さんは、ホッとした表情をしてまた磯辺もちのことを考えだした。

 

(磯辺もちもっと食べたかったなぁ。明日はもっと早起きしてたくさんだーべよっと)

 とね。

 

 続く。

 

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