居眠りメイドさんがおきた夜
郵便を受けを開けると空っぽだった。
油断せずドアを開ける。
きちんと鍵は閉まっていた。
ただいま。
返事がない。
人がいる気配を感じない。
メイドさんデスクにいた。
椅子に座った状態で動かない。
天板の上に腕を置いてここからは顔は見えない。
反対側に回って覗こうとしたらつま先が引っかかった。
声を漏らしたのと同時に飛び起きるメイドさん。
瞬時に背筋が伸びてきれいな姿勢になるのはさすがだった。
メイド「何故いるんですか。」
せっかく送り出してもらったのに一時間も経たないうちに戻ってくることになるとは。
仕事が急遽キャンセルになってね。
メイド「そうですか。良かったですね。」
うん、とても良かった。
メイド「それは私の寝顔を見たということですか。」
顔を下にしていたじゃないか。見れるわけない。
メイド「それなら許します。」
額の色が少々変わっているのは突っ込まないでおこう。
というか何か悪いことしたのか。
メイドさんは立ち上がって腕時計を見つめる。
メイド「そろそろ帰ります。」
立ち上がった姿はいつものメイドさんだった。
次会えるのはいつになるのか。
予定外にまた会えたことによって名残惜しいさが再燃してしまった。




