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メイドさんの目の付け所
湯気が台の横から出始めたタイミングで音が鳴った。
すかさずメイドさんは台の上でスチームを当てる。
メイド「まだ神経衰弱やってるんですか。」
溜まっていたワイシャツのシワが次々と伸ばされていく。
手を休めることなくこちらを見ているメイドさん。
人には得意なことと不得意なことがありましてね。
メイド「ご自分でやると言い張ったのにそんなに難問ですか。」
眼の前の床に黒の靴下を並べていた。
それを組み合わせる作業。
全部同じに見えてる。全部で20枚。
メイド「どうして同じ色を買いますかね。」
アイロン作業を中断して隣にやってきた。
スカートの裾を扱って座ると同時に1枚取り上げる。
メイド「わかりやすいのから始めればいいんですよ。」
続いて端のを1つを手に取ってもう畳んでいる。
いやいや早すぎでしょ。
メイド「どうみても幅が大きくなってますから。」
言われてみればそう。ゴムがゆるくなっていて他と大きさが違っていた。
どこを見ていたんだろう。
メイド「本当にどこ見てるんですかね。私ですね。」
間近にいるメイドさんに見とれていたのはバレバレだった。




