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二人しかいない部活の美人先輩に告白された。一緒に行った夏祭りでお互いの耳にピアスを開ける。

作者: 水野スバル
掲載日:2022/12/21

「来てくれたね、ハルト」


 屋上には文芸部の「かさね先輩」。


「わざわざ呼び出して何の用ですか」


 オレがこう思うのも当然だろう。

 文芸部はオレと先輩の二人だけだから、用があれば部室で言えばいい。


「それじゃ気分が出ないじゃない」

「はあ」

「……私、ハルトが好き」

「え?」

「付き合ってほしいんだけど、どうかな?」


 ちょっと、告白って……マジか。

 冗談じゃないんだよな?


 返事はまだいいから、夏祭りに行かないと誘われた。

 着物のかさね先輩が可愛かった。


「嫌じゃなかったらでいいんだけど、手をつないでいい?」

「……いいですよ、別に」


 照れてしまって冷たい態度を取ってしまったが、手をつないで二人で歩いた。


「わ、可愛い」


 夜店の銀のアクセサリー。

 割り勘でペアのピアスを買うと、耳に穴を開けるピアッサーもおまけでくれた。


「痛っ」

「大丈夫ですか?」

「あ、でも一瞬だけっぽい。

 じゃあ、私も開けてあげる」

「っ……」

「痛くないの?」

「先輩の前だから我慢してるんですよ」

「ふふ、男の子だね」


 夜店をめぐり、りんご飴を食べて、花火を見た。

 いつもポーカーフェイスな先輩だけど、花火に照らされて顔が赤く染まっていた。 


「うん……ねえ、ちょっと静かなところ行こっか」


「かさね先輩」

「ハルト……」

「オレ、センパイのことが好きです」

「ねえ、目をつぶって……」


 オレは先輩を抱き寄せ……


 ぺた


 ん?

 何だこれ、唇におふだ?


「何なんですか!」

「ハルトに悪霊が取りついててね。

 乱暴に除霊すると、ハルトの人格を損ねる。

 だから、霊の望みを叶えてあげた。

 私に告白されて夏祭りに行くのが望みだったの。

 どうやら悪霊は私のことが好きだったって」

「そんな……じゃあ、オレの先輩への気持ちは……」

「悪霊が思ってるだけ。

 除霊さえすれば、キミの私への気持ちは溶けてなくなる」

「違う、オレは本当にかさね先輩のことが……」

「悪霊退散!」


「ハルト、キミの気持ちをもてあそんでしまったね。

 でも、私は霊に操られてるハルトじゃなくて……元のハルトに会いたかったんだ」


 かさね先輩は、髪をかき上げ、オレに顔を近づけて――


 次の日。


「ハルト。

 ……どうした、私の顔に何かついてる?」

「かさね先輩が可愛いなって思って」

「な!?」


 先輩は顔を真っ赤にした。


「冗談ですよ」

「……人の気持ちをもてあそぶな!」

「仕返しですよ」

「……むう……」

 

 かさね先輩にいつかは気持ちを伝えたい。

 でも、今日はこの関係を壊したくなかった。

読んでくれてありがとうございます。

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