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66.連想ゲーム

 映像伝達とは……自分が頭の中で想像した映像を、相手に見せる魔法の事である。結構難しい魔法だが、優れた魔術師ならば扱う事も可能だろう。


 そしてこっからが大事なのだが……実はその魔法を使用する時は対象の相手……要するに、映像を受け取る人の体に触れる必要があるのだ。


 つまり……ハンナさんが僕を抱きしめて寝ていたのは、そういった理由があったから……!


 だからワザと治療の速度を落として、抱きしめるチャンスを増やしていたのか!!


「……考えましたね、ハンナさん」


 それにもし、僕に気付かれたとしても……僕が嫌がって離れないと踏んだ上での行動なのだろうな。


 でも……対象となる僕もありえないくらいに眠ってしまっていたから……その映像に1週間程の大きなラグが生じて……しかも夢としてそれが現れたのか。


 はぁー。何をやってるんだ僕は。


 まぁ……過ぎたこともういい。それでハンナさんが僕に送った映像の内容だけど……検討はついている。


 それは……魔王と戦う僕達の様子だ。


 あの時は気が付かなかった……いや。知る由もなかったけど。魔王も今の仲間も確かに存在していた。


 白髪ギザ歯の男は、人間化したシン。大きな杖の赤髪少女はミミルさん。そしてピエロの格好した男はピエールさん。


 ……完全に、今の状態と一致している。


 それでこれらの事を踏まえると。ハンナさんは恐らく未来予知出来る人で……それを知ったハンナさんは僕に伝えようとしたんだ。


 僕らが全滅するのを防ぐ為に。


 ……しかし。あの映像通りにいけば、間違いなく僕らは死ぬ。だからその未来を変えるために、ハンナさんは敵側についたのか……?


 あの映像ではハンナさんの姿など見えなかった。だからきっと……そうだ! 僕らの敵のフリをしているけど、本当は仲間なんだ!


「……でも。何かが足りないような……?」


 あと……もう一歩。もう少し根拠が欲しいな。


 そうだ……さっきのハンナさんの言葉には違和感があったよな。もっと深く考えてみよう。


 ええっと確か。


「理由なんか単純だよ。ただ……キライなんだよね。この世界も……私自身もね。だから魔王と国を滅ぼす手伝いをするって約束したんだ」


 こうだったよな。気になるのは……自分が嫌いってところ。そして魔王と約束したってところだ。


 後半部分の方が気になる。というかそもそも……「魔王と約束した」だなんて普通言うかな? いやもし、したとしてもだよ。『契約』とか『盟約』とか言うんじゃないか? これは勝手なイメージだけども。


 でも……ここまで考えているハンナさんだ。意味のない言葉など、きっとない。


 うーん。約束……約束か。


 ……あ。そういえば……僕もハンナさんと約束を交わした事があったような。


 ええっと……そうだ。2年前の今日みたいな、魔王がモンスターを送り込んだ日だ。そう。ブラッディウルフの大群が攻めてきた時に、僕がハンナさんを守るって言ったんだ。


 それで、心配されて……それでも僕は大丈夫って言って。小指を交わしたんだ。その時、ハンナさんは。


「覚えていてね。私、約束守らない人嫌いなんだ」


 そう言ったんだ……『覚えていて』『約束を守らない人が嫌い』か……


 ハンナさんは魔王と約束をした……そして自分が嫌いと言った…………はっ、まさか!


 何かに気が付いた僕は、創造魔法を使ってペンを出して、思いつく事全てを床に殴り書きした。




 ハンナさんは魔王との約束を破るつもり→結果、ハンナさんが約束を守らない人になる→約束を守らない自分が嫌い→つまり僕らの味方!!!!




 そっ……そういう事なのか!? ホントに!?!?


 …………いや。分かってる。僕だって分かっているよ。これが相当苦しい連想ゲームだって言うのは。


 でも……もう。そうだとしか思えない。それしか考えられないんだ。


 ハンナさんが魔王にバレないように、必死に僕に伝えてくれたSOSの言葉。僕はそれを解読したんだ……色々と間違いはあるかもしれないけど。


 それを受け取ったんだ。


 後は……クソ野郎の魔王を潰すだけ。そして完全にハンナさんを救って見せるんだ。


 だって僕は……ハンナさんが認めてくれた、魔剣士なのだから。




「今……行きます。待ってて下さい、ハンナさん!」


 僕がそう宣言すると、部屋中が眩しいくらいに光輝いて……そして。


 ──


「……暗っ」


 あの忌々しい洞窟内に戻って来た。

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