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47.到着

 それからしばらく時間が経って、ずっと尻に伝わっていた振動が完全に収まった。これは要するに……


「ん、やっと着いたみたいじゃな」


 いち早く気がついたミミルさんは魔導書を閉じ、馬車の扉を開いてぴょんと飛び降りた。


「あー団長ー! 降りる時は私が手を引いてあげるっていつも言ってるじゃないですか!」

「ウチを子供扱いするでない」

「どう見ても子供じゃないですかー!」

「……」


 ミミルさんは振り返らずに先にどんどん進む……ホントこの人はミミルさんの地雷を的確に踏み抜いていくなぁ……


 続いて追いかけるようにノノさんも馬車から降りて……最後に僕。そして僕の目の前に現れた光景は……


「なっ……!?」


 そこには庭園だった。綺麗に磨かれた石の床に色とりどり咲いた花……中央には大きな噴水まであった。


 そして豪邸の扉までの道に、20人くらいのメイドさんがズラーッと並んで立っていた。


「すっ、すごい……!」


 しかし……こんなに反応していたのは意外にも僕だけで、他のみんなは黙ったままだった。


 驚きすぎて言葉も出ないのかな……なんて僕は思ったけれど、どうやらそうではなくて。


「……」


 ミミルさんはいつにも増して、真剣な表情に変わっていた。そしてシンは僕に聞こえないくらいの声量でこう呟いた。


「……悪趣味だな」


 この時の僕は気が付かなかったけれど、シンはこの時点で相当嫌な予感をしていたんだと思う。


 ──


 メイドさんの道を抜けて、玄関ホールに入る。そこには絵画や彫刻がいくつも飾ってあった。


 それらを眺める暇もなく、使用人らしき人が現れて、僕らを客室へと案内してくれた。


 客室も玄関ホールとは変わらず、高そうな小物や豪華な椅子が並べられていて……え、僕なんかがこんな椅子に座っていいの?


 なーんて戸惑っていると。


「……リリス様をお呼び致します。暫くお待ちください」


 そう言って使用人は部屋から出ていってしまった。そして僕ら3人と人形1匹が残る……


「アル」

「何ですかミミルさん」

「……冷静でいるんじゃよ」

「……はぁ」


 言ってる意味はよく分からなかったけど、とりあえず頷いておいた。


 そしてその会話のすぐに、扉からノックの音が聞こえてきた。


「どうぞじゃ」


 お前が返事するんかい。


 そして……扉から現れたのは。頭皮の薄い、勇者の面影など全くない、中年のおじさんがやって来た。


 しかしそのおじさんは高そうな時計や服を身につけており、少なくとも身なりは整えているようだ。


 そしてその人は口を開く────



「……ようこそ。リリス・リルファーだ」

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