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41.ピエロ、遭遇

 それでまた数日後。僕らはギルドにやって来ていた。理由はクエストを受けるためである。


 シンに血を吸収させなくても良くなったとはいえ、お金は何もしていないとどんどん減っていく……まぁ要するに、自堕落な生活を続けていくのもそろそろ限界って事なのだ。


 それで僕は、掲示板に貼ってるクエストが書いてある紙を一通り見てみたけれど……


「ダメだ。Fランだと受けられるクエストが少なすぎる。それに報酬も悪い……」

「ならそろそろお前もランクの上がるクエスト受けろよ」


 僕の肩に腰掛けたシンが言う。


「うん、そうしたいのは山々なんだけどね」


 僕は掲示板の端にある『Fランクアップクエスト』と書いてある紙に指さす。


「ゴブリンの群れ討伐……そしてこれ。『1人不可』」

「……ああー」

「1人じゃ行けないんだよ」


 そう。1人ではランクアップクエストを受ける事が出来ないのだ。


 誰かを誘おうにも……僕の周りの人はランクが高い人が多すぎるのだ。


 それにこんなしょうもないクエストに時間を割いてくれるとは思えない……それにランクの離れた人とランクアップクエストに行くのは、普通に禁止されているんだよな……(高ランクの人に助けられていると見なされるかららしい)


 ……いや、そもそも未だにFランクな人なんて、僕以外に聞いた事ない……まさか。これは詰んでいるのではないか?


 どうしよう……どうしよう……と悩んでいると。


「「「おおーっ!!!」」」


 何やらギルド内がザワザワとしてきた。


「なんだなんだ?」

「……何か歓声が聞こえるな」


 そしてうろちょろ周りを見てみると……なにやら知っている顔を発見した。


「……レウス?」

「おっ、アルじゃん! 元気?」

「いや元気だけど……この騒ぎは一体?」


 レウスはウキウキしながら答える。


「ああ! 何か変なピエロが来てるらしいぜ?」

「ピエロ?」

「えっ、ピエロ知らねぇの?」


 いや、知ってるよ。馬鹿にしないでくれ。


「それで何でピエロが?」

「いやー、それは知らんけど。でも面白そうだし、俺らも行ってみようぜ!」

「あっ、ちょっと!」


 半ば強引にレウスが僕の手を引く。そして冒険者達が作った壁を通り抜けて、そのピエロの見える位置まで何とかたどり着く事が出来た。


「アル、見ろよ!」

「ん……?」


 そこには絵に書いた様なそのまんまのピエロ……肌を真っ白に塗った高身長の男が、瓶の上に置いた板でバランスを保ちながら、3本の瓶を投げてジャグリングを披露していた。


「うわっスゲぇな!!」

「おー」


 確かにあの技は凄いな……と遠目から見ていたら。ピエロが一瞬こちらを向いたような気がした。


 気のせいか……と思ってると、ピエロは次第にジャグリングのスピードを落とし……瓶を全てキャッチして、不安定な台から飛び降りた。


 そして手を広げ一礼する。


「おおー!」


 それを見たレウスを含む冒険者達は、拍手をしてピエロを称える……が、そのピエロは道具の片付けもせずに……僕のいるこっちの方へと向かって来た。


「……え、なになになに!? 怖いよ!」


 反射的に僕は逃げようとした……瞬間にピエロが口を開いた。


「いや待ってよキミ! 確かボクの指輪を買ってくれた人だよね!?」

「えっ……?」

「ほらそれ!手に着けてるやつ!」


 思わず僕は立ち止まって自分の指を見る……そこには神秘の指輪が8つも装備されてて……


「あっ……もしかして!」

「あの胡散臭ぇ押し売りのヤツか」


 シンとほぼ同じタイミングで思い出した。そう。この人は僕に指輪を売った、怪しい押し売りの人だ……!


「そう! あのボクだよ!」


 言ってピエロは親指を立てる。確かにこうして見ると、面影は残ってるような……いや。そんな事よりも。


「ええっと……何でピエロなんかやってるんですか?」

「それはね! セールスはクビなっちゃったからなんだよ!」



「……」

「……」



 生きるって……大変だ。

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