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37.人形の可能性

 で、やって来ました人形屋。調べたら結構近くにあったから助かったよ。


 早速僕はその木製で作られた扉を開いて、店の中に入った……


「…………あ、いらっしゃーい」


 最初に目に飛び込んできたのは、正面の受付の机にダラーんとうつ伏せになっていたメガネ姿の女の子店員だった。


 そして視線を横に移してみると、50センチ程の高さの人形がズラーッと立って並んでおり、謎の威圧感を放っていた。


 とりあえず僕はその店員に声を掛けた。


「あの、すみません」

「あー。それって魔剣? 」

「えっ!?」


 早っ。正体バレるの早っ! と驚いていると。


「あー。この店まあまあ長くやってるからさ、だいたい分かんのよ」


 と、眠そうな目を擦りながら店員はそう言った。


「そ、そうなんですね」

「うんー。魔剣持った人結構来るんだよー?」


 するとシンはバレてるのを確認したのか、普通に喋り出した。


「……つーか今更だけどよ。俺を人形に移したからって、魔剣は魔剣のままなんじゃねぇの?」

「おっ、こんなにハッキリ喋る魔剣は初めて見たよ」


 店員は少し魔剣に興味を持ったのか、ここまで来てまじまじと魔剣を見つめてくる。


「……近けぇ」

「あ、ごめん……それで何だっけ。魔剣のまま? ならないよ、この剣が魔剣なのは君の魂が入っているからなんだよ」

「……そうか」


 そうだったの!? じゃあこの世にある魔道具は全て、何かの魂が入っているって事……?


「しかし……ここまで意思疎通出来るなんて。本当に君は何者なんだい?」

「……俺は。シン・クレイトンだ」


 あっ、言うんだ。そしてそれを聞いた店員は「ふんふん」と頷いて。


「なるほどなるほど。あの伝説の……それなら人間になるのも難しくないかもねー」


 そう言ったんだ。


「えっ!?」

「なっ……!?」


 当然僕らは言葉を失う。


「正確には人間じゃなくて『人間サイズの人形』に魂を入れられるかもって事なんだけどね。でもその人形だったら五感だって感じるし、表情も出るし……本当に人間と何も変わらないんだよ?」

「……」

「あ、もちろん人間のように戦ったり、人と性交だって出来るよ。まぁ流石に子供は作れないけどね」

「……フッ」


 それを聞いたシンは魔剣をギラギラ光らせて……


「アル。俺は絶対に人間になるぞ」

「……」


 そう宣言した。いや、まぁ……別に動機はどうであれ、魔剣じゃなくなるなら、僕は何だっていいんだけどさ……


「でもねー。人間サイズの人形に魂を入れるのは、その小さいのに魂を入れるのとはわけが違って、相当難しいんだよね」

「どう難しいの?」

「魂と人形がピッタリ一致しないと、動かないんだよ。つまり……」

「つまり?」


 店員は一呼吸置いてこう言った。


「つまり君が人間になりたいのなら『シン・クレイトン』そっくりの人形を作らなくちゃいけないんだ」


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