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36.パペット

 それでハンナさんと会話を続けること数十分……悲しいかな、別れの時間は突然やってきた。


「あっ……もうこんな時間! そろそろ帰らなきゃ」

「えっ……あっ……はい」

「もーアル君、そんな悲しそうな顔しないでよー……ほら、何か困った事あったら力になるから!」


 ……そんな泣きそうな顔してたの僕?


「……」

「それじゃあまた──」


 それでこの時僕は何を思ったのか。引き止めたかったのか、もっと話がしたかったのか分からないけど……咄嗟に声を上げたのだった。


「こっ、困ってます!」

「えっ?」

「僕…………の友達が。魔剣に呪われてて困ってるんです! だからハンナさん……が何か解決策を知ってたら……教えて欲しいな……ってそれで……」


 もちろんこれは咄嗟に言った事なので、本当に答えを求めている訳じゃないし、期待した答えが返ってくるとは思いもしていなかった。


 けど、それを聞いたハンナさんは少し「うーん」と考えてくれて……


「そんな子がいるんだねぇ……それならその魔剣を人形パペットしちゃえばいいんじゃなかな?」

人形パペット?」


 予想外の答えが返ってきたのだった。


「うん、人形。ほら使い魔とか魔獣とかってサイズが大きい子が多いでしょ?」

「あっ、はい」

「だから基本は何かボックスやボールに閉じ込めておくわけだけど……ずっと閉じ込めるのも可哀想だって言う人がいたの」

「へぇ」


 まぁ魔獣とはいえテイマーから見れば、可愛いペットみたいなものだもんな。でも街中で歩かせたりは出来ないよな……


「そこで人形に魂を入れようって話になったんだよ」

「人形に?」

「うん。基本は人形として過ごして、戦う時には魂を本物の体に戻して戦う……って事をしているテイマーの人も多いみたいだよ?」

「へぇーそうなんですか!」


 初めて知った……そうだ。今思い返してみれば、何か肩にちっちゃい何かをのせてる人を見た事あるかも……!


「うん。それで今では魂を入れてくれる『人形屋』もあるんだよ?」

「へぇー! 詳しいですねハンナさん!」

「ふふーん! ……あ、本当に仕事に遅れそう! だからもう行くね! バイバイー!」


 そしてハンナさんは手を振りながら、急いでここから去るのだった。


「あっ、ありがとうございました!」


 僕はハンナさんの背中にお礼を言う……こんな有力な情報を教えてもらえるとは思ってもいなかったよ。流石ハンナさんだ。


 早速僕は『人形屋』に向かおうとする……前にちょっとシンに聞いてみた。




「……シン」

「ンだよ」

「お前を人形にしてやろうか?」

「……」

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