33.業火
僕はジェネさんに尋ねる。
「あの……ジェネさんはシンの使う技で、何かお気に入りのやつはありますか?」
「そうだな……確か文献にあった。完成までに数年かかったとされている、シン様にしか扱えない【インフェルノ】という技を見れるものなら見てみたいが……」
インフェルノ……? 聞いた事のない技だな。僕はちょいちょいっとシンに尋ねる。
「ねぇシン、その技出来る?」
「ああ、もちろん可能だ。ただ……」
「ただ?」
「お前が技の反動に耐えれるかどうかは知らんけどな」
そう言ってシンは「ふへへっ!」と笑う……この時点で嫌な予感しかしないよ……だけど。
「まぁ……偽物の貴様如きが出来るわけないだろうがな」
「今から……見せてあげますよ」
信じてもらうにはやるしかないみたいだ。
僕はそこにあった木に向かって剣を構える……
「シン、こっからどうするの?」
「ああ。お前は構えながら、あの木に突っ込むだけでいい。俺がタイミング見計らって発動してやるから」
「分かった」
「ただ……思いっきり走れよ?」
僕は頷いて……息を整えた後、全速力で駆け出した。
「おおおっ!!」
「速く……もっとだ!」
「うおおおっ!!!」
「もっと!!」
「おおぉおぉっっ!!!!」
「今だ切り裂けッ!!!」
「はァっ!!」
「「【インフェルノ】ッ!!!!」」
いつの間にか燃え盛っていた剣を、僕は大木に向かって振り下ろす。
すると大木は綺麗に真っ二つに切り分けられ、引火したままズドンと大きな音を立てて倒れた。
「なッ……!?」
「やった!」と思ったのも束の間、火は隣の木、隣の木と伝わっていき……
「……うわっつ!!! あっつつ!!!!」
「あ、やべぇな」
「うわぁぁああ!!!!」
一瞬で辺りは地獄……火の海と化した。
「ヤバイヤバイこれやばいって!!! シン!! どうする!!??!」
「逃げるぞ、アル!!」
「おい貴様ァ!!! 僕の鎖を外せ!!!!!」
あ、ジェネさんの事忘れてた!! どどどどうしよう……!?
「外す時間はねぇ! だから仕舞え!」
「し、しまう!?」
しまう……そうか収納か!
「現れろボックスッ!!!!」
ものすごく焦りつつ僕は『無限箱』を召喚して……
「貴様っ何を……!?」
「ごめんなさいジェネさん!!」
ジェネさんを箱の中に押し込んだ。
「うわああぁ……!!!」
よし!! 次は!!
「シン、テレポートだ!!!」
「おう! あ……魔力が足らねぇ」
「はぁぁあああ!?」
「インフェルノは魔力アホみたいに使うんだ!!」
「それ先に言えバカ!!!」
反動ってそういう事かよ!!!
焦って周りを見ると、火は消えるどころか更に勢いを増して燃え盛っている。このままだと僕の所も火の海に変わるのは容易に想像出来た。
だからこの状況を打破するには……僕はっ……!!
「箱現れろっ!!!」
もう一度箱を召喚した。
「アルお前何を……!?」
「箱っ! ポーションあるだけ出せっ!!」
僕の呼び掛けに答えた箱は、ありったけの瓶に入ったポーションを僕に向かってふわふわ飛ばしてくる。
僕はそれを……
「でやぁあああ!!! 【スラッシュ】!!」
魔剣の斬撃で切り、全てのポーションを割った。
「は、はァッ!?」
そして滝のように溢れ出したポーションを、僕は口を開けて……めいっぱい吸い込んだ。
「……ンプはァ! あぁ!!!」
「いやいやいや、バカ過ぎだろお前!!! 」
「がハッ……!! はやぐどべっ!!!」
「……【転移】!!」
なんとか魔力を回復させた僕は、シンの唱えた魔法によって無事、業火の中から脱出する事が出来ました。
──
「いや無事ではないだろお前……」
「熱いよ……痛いよぉ……!!」




