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20.魔剣の正体

「えっ、そんなの無理だよ! あの伝説の勇者様が僕なんかと会ってくれるわけが無いだろ!」

「……」


 僕は魔剣に強い口調でそう言い返した。


 伝説の勇者に憧れて冒険者になったくらいの僕だが、これでも身の程はわきまえているつもりだ。Fラン冒険者ふぜいが勇者に会うなんてとんでもない。


 それに万が一オッケーをもらっても、恐れ多くて会えるわけないよ……!


 それで魔剣はいつものように「使えねぇ」と僕に暴言を吐いてくるかと思ったのだが……


「……そうだよな。今のは忘れてくれ」


 と元気のない声でそう答えるだけだった。


「えっ?」


 予想外の言葉に思わず声が出る。


 本当にダースレどうしちゃったんだろう。何か変なものでも食べたのかな。いや……変な血でも吸収したのかな。


 まぁこのまま丸くなった状態でいて欲しいけど……それだと何かこっちまで調子が狂うと言うかなんというか……


 何となくチラッとミミルさんの方を向いてみると、何かを考える様な表情をしていた。そして口を開いたかと思ったら一言。


「……ウチなら会えるかもしれん」


 僕より先にその声に反応したのは魔剣だった。


「おい本当か!? 」

「多分じゃがな。ウチのクランメンバーに勇者と知り合いのヤツがおる。そやつに頼めば会わせてもらえるかもしれん」

「ならっ……!」


 とミミルさんは、魔剣の言葉を遮るように言う。


「じゃが今はこんな時期じゃ。魔王軍の襲撃を受けて皆バタバタしておる。この話は落ち着いてからでも良いな?」

「ああ……済まねぇ」


 魔剣が謝った……だと? 何だかここまでくると気味が悪いや。お願いだから元の性格に戻ってくれ。


 そしてミミルさんは目線を僕に向ける。


「それでアルよ。とりあえずウチら……冒険者達が今やるべき事は、この街を復興させる事じゃ。そしてそれが終わったら壊滅させられた他の街を元通りにする」

「うん、それはそうだよね。建物とか壊れまくってたから修復しないと」


 僕の生まれ故郷ではないとは言え、この街にはかなりお世話になっていたんだ。復興の手伝いくらいはしないとな。


「まぁこの街には大勢の冒険者がおるからの。意外と早く元通りになるかもしれん」

「それは良かったよ」

「うむ、明日から復興作業が始まるからお主も身体を休めておくのじゃ。しばらく宿はこの部屋に泊まるが良い」

「分かった。何から何までありがとね、ミミルさん」

「うむ、お主には色々と期待しておるからな……それとアル、今冒険者に臨時の討伐報酬が出ておる。貰ってくるが良い」

「えっ、本当! 貰ってくるよ!」


 その事に喜びつつ、僕は魔剣を持って部屋から出ようとした……その時。


「ああ、それは置きっぱなしで良いぞ」

「え、でも魔剣と離れたら僕大変な事になる……」

「この宿の受付で貰えるから、わざわざ武器なんか持ち出さんでも良い」


 ……何か露骨に怪しい。でも僕はミミルさんの事は信用するって決めたしな……ならここは。


「うん、分かったよ」


 言われた通りに僕は何も持たずに、部屋の扉を開いて宿屋の廊下に出た。そして受付に向かった……






 ……と見せかけて、さっき出た部屋の扉に耳を押し当てて、部屋の様子を伺う。


 すると中から話し声が聞こえてきた──




 ──


「……さて。生きておるとは思ってはいたが……まさかこんな姿に変わり果てていたとはな。道理で見つからんわけじゃ」


「フン……何だ。そこまでバレてたのかよ。何モンだお前」


「ウチはクラン【フェアリーウィッチ】の現団長、ミミル・エンシューナじゃ。昔はお主のクランとは仲悪かったそうじゃが、今はそんな事はない。むしろ良好じゃ」


「そうかよ。全然嬉しくねぇな。俺は未だにアイツ……アイナルのヤローはいけ好かねぇよ」


「そうかい。それじゃあ勇者のリリスは?」


「……」











「意地悪な質問じゃったか。まぁ何にせよ会えて光栄じゃよ。勇者の右腕……伝説の騎士、シン・クレイトン様よ」

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