魔導師の旅日誌 始
今年もよろしくお願いします。お互い健康でいられますように。
私の職場は宰相閣下の下だと思っていたけれど、どうやらご夫人方のお守りなのかもしれないとしみじみ感じる今日この頃。
風の噂で魔王討伐が成功したと聞いた。マジか。
どうも。
今日も今日とてお茶会参加からの王宮内部事情暴露大会あらやだあの人ったらあんなことやそんなこと? につきあわされたと思ったら突然部屋に連れ込まれてワンピース剥ぎ取られたレンさんです。長い。
てかそんな裏事情聞かされて、まともに顔合わせにくいんですけど!? 視線が一点に固定されて動かせなくなりそうなんですけど!? 吹き出したらどうしてくれるんですかね!?
ふう。さて、衝立の影で下着姿の私。下着は生地から探して自作したよ。魔力って便利だよね。
この世界の下着ってただの白いキャミワンピなんだもん。かわいくなくてもいいからちゃんとしたの欲しかったんだよね。コルセットは苦しいだけで身体によくないしさー。
あと、下着に食いついたご夫人方のおかげで、販売が決まったよ。何割か私にはいるとかで収入源ゲットだぜ。
「動かないでくださいませ」
採寸ですものねわかりますわかりますがなぜに私が?
「ドレス作るからよー」
「今からで間に合うかしら」
「間に合わせてみせますわ。すでにレース部分には取りかかっておりますので」
「お願いね」
「このような素敵なドレスを作れるのならいくらでも頑張りますわ。ちなみに、この部分ですが、宝石に関しては如何なさいますか?」
「薄い青色系でそろえたいそうよ」
ご夫人方とドレスメーカーのお姉さんの話に、私は混ぜてもらえない。ドレスって私の? てかデザインその他もろもろドレス代とかどうなってんのさー! と心で叫んでも誰も気づかない、知ってるー。
そもそも、ことの起こりは大分前に遡る。
魔王討伐メンバーがそっと出発して(え、壮行会は? お姫さまとの婚約は? いかないで無事に帰ってきて待ってるとか縋ってくる女の子達は? とか寝言ほざいた勇者がいたらしいが、前勇者今魔導師が速攻で意識を刈り取って脳筋阿呆騎士が担いで行ったらしい)数日後。
私の机には書類がドンドンと溜まることになった。なんぞやと思ってたら、魔導師さんからの報告書だった。しかも日本語仕様。
「他の奴らの報告書が読むに耐えない出来のため、魔導師からのだけが頼りなのだが」
読めない、と。
ですよねー。と翻訳して清書の仕事が始まった。
……なんか、うん。ごめん。波乱万丈というか、苦労というか。
魔導師、哀れ。
さて、勇者(笑)どうしようかねぇ。




