愚か者共は驚愕して恐怖する に
続きます
「まず、1番大切なことを言います。大事なことなので、何度でも言います」
気をつけで固定された愚か者共は、片方は嬉しげに、片方は青ざめてコクリと頷いた。よろしい。
「私は、貴方の名前を覚える気がないくらいに、貴方が大嫌いです」
「・・・・・・・・・・・・は?」
「貴方が大嫌いです」
理解するまで何度でも言うよー。
「最初からずっと、貴方が大嫌いです」
「し、しかし私は、そなたのことが・・・・・・それに、女性は求められて嫁ぐもの、で」
「それなんですよね」
「え?」
「私、手に職持ってるんですよ。嫁にいかないと生きてけない訳じゃないのに、なんで好きでもない人と結婚しないといけないんです?」
「え、は、す、好きじゃ、ない?」
「ええ、大嫌いです。貴方方の男尊女卑な思考回路も、貴方の上から目線な嫁に貰ってやるのだからありがたく思えよな態度も」
蹴り飛ばしてやりたくなるよね。触りたくないからやらないけど、魔術で吹っ飛ばしてやりたくなるくらいには大嫌いです。だから避けてたのもある。
「私に意思確認もしないまま、婚姻証を届出ようとしたり、どこかの貴族に養子に入れようとしたり、周りから固めようとしたりする姑息なところも大嫌いです」
師長に承諾を得ようとしただろうって? 師長は私の保護者じゃないけど?
「そもそも、私本人に告白もないし結婚の打診もないし、断っても断っても理解しない人と会話したいとは思いませんよ。大嫌いですし」
脳みそどうなってんのかと。子供より理解しないなら、持ってる意味なくね? 脳筋かよ。
「勝手にご自分の母親に私を嫁と伝えたらしいですね。そのおかげで押しかけてきてすごかったそうですよ」
騎士団長夫人が迎え撃ってくださったようで、晴れやかな笑顔で報告を受けたよ。感謝の印に特別仕様のお守りを贈っておいた。お礼大事。
「挙句は師長の婚約者さまと手を組んで、私をどこかに監禁して既成事実を作ろうとしたそうじゃないですか」
「は!?」
「な、なぜそれを・・・・・・!?」
「はぁ!?」
師長うるさい。
「ありえないよねバカなのバカだったわバカだったね阿呆だよね大嫌いです」
発覚した瞬間に、宰相閣下と夫人によって婚約者さまは捕獲された。お仕事早いですよね助かります。当事者なので報告は密にもらってますよー。
「私的には、なぜそれを師長が知らないかの方が気になります。周りを見ないにも程があると思いません?」
本来なら婚約者さまを抑えるのは貴方の役目だろうに。望んでたわけじゃないからって、放置しすぎたんだよね、おかげで程よく腐ったよ、婚約者さま。まぁ、元々かもしれないけど。
「だから、いい加減にしてほしいんですよ。ふたりとも」
きゅっと絞めちゃうかもしれないから、まだ動くなよ?
レンさん静かに怒っております。