晴実さんから見る両片想いへの考察
両片想いバカップルめ、爆ぜろ!
私は間中晴実、17歳。間中兄弟とは父同士がイトコなのでハトコにあたるわ。
幼なじみでもあるから、小さな頃から会う回数は多かったと思うの。
私が物心ついた頃には、朱桜くんはもうあんな感じで、ひなちゃんしか目に入ってなかったわ。美少年と美少女のにこにこツーショット、萌えー!
あぁ、ごめんなさいね。私、母親に似てるみたいで、美しいものかわいいものが大好きなの。だから朱桜くんとひなちゃんはふたり一緒にいる時が1番素敵だと思うし、一緒が普通だったのね。
朱桜くんはひなちゃんの全てを守るために、留年したいと嘆くくらいだった(ひなちゃんに負担をかけるな! と結花ちゃんに〆られてたわ。面白かった)し、そんな朱桜くんを信頼しきっているひなちゃんが嬉しそうに笑う姿は尊かった。
そんなふたりを間近で見るために、高校も同じ所を選んだわ。結花ちゃんはそのつもりがなくてショックを受けていたけど。結花ちゃんは自分は普通のかわいさだと思ってるけど、彼女も美少女なのよね。無知って罪よね、そしてそれを教えないシスコン兄弟、まぁそれはそれで良し。
結花ちゃんは、母親似のサバサバした姉御肌なものだから、結局ひなちゃんの面倒を見てあげてるし、結果的に朱桜くんのフォローもすることになってるわ。姉御肌美少女がほんわかカップルのお世話してるシーン、超萌!
「え、なにそれあたしも見たかったー!」
そうでしょうそうでしょう。眼福だったわぁ。母は私よりも萌好きだから、絶対そう言うと思ったのよね。同じ話で盛り上がれるのも楽しいしね。
「楽しそうだね、好実?」
「はぅ!?」
「あら、お帰りお父さん」
「ただいま、晴実」
家の父、刑事という名の地方公務員。穏やかな雰囲気と柔らかな物腰で刑事に見えないとは、家族の総意よ。そして母ラブ。
「はははは、晴さん。おおかえりなさい?」
「ただいま?」
動揺しすぎよ、母。そして父、おもしろいからって放置しない。
「で、どうしたの?」
「いつもの両片想いカップルの話よ」
「ああ、なるほど」
母は高校時代、寮つきの山奥の女子校にいたそうで、男女のあれこれにものすごい憧れがあるのだそうだ。
父とは大学に入ってからのつき合いらしいので、キャンパスライフはエンジョイしたのだろうけど、高校生のアオハルはやっぱり違うものがあるのだろうか。
「ひなちゃんはどう?」
「朱桜くんがべったりだし、結花ちゃんが甲斐甲斐しく世話してるわ。私もフォローはしてるわよ」
できれば少し離れて見ていたいんだけど。
「同じ歳の子がいれば良かったんだけど。蒼人くんは学校が違うし男の子だし」
「蒼人くんがいたとしても、朱桜が傍に寄せないだろうね」
蒼人くんは結花ちゃんの弟だ。シスコンだから、てっきりうちの学校に来るものだと思ってたけど、自分の未来設計は譲れなかったみたいね。
ひなちゃんは、大人達が心配するほど弱くないし、不幸でもないわよ? そこのとこ、勘違いしないでね?
晴実さんは母のミーハー気質は受け継いでも、電波は受け継いでいません(笑)