結花さんから見た偏りのある考察
始まります。
私は松川結花17歳。兄と弟がいるけど、私的にはイケメン枠ではないので割愛。
家の父の遺伝子が仕事してブサメンなわけないし、モテるのも知ってるけどブラコンじゃないからね。
私達には親繋がりの幼なじみがいる。結構人数が多いので、集まりはまとまりがつかなくなったりするけど。
でも、中学生組、高校生組、大人組と女子組男子組とかにバラけてバランスをとったりするから、仲良くやってると思う。
みんな親の遺伝子が良い仕事してる、なかなかの美形さん達なので、モテる彼・彼女らの幼なじみだとバレると大変なことになるんだよね。
現に私がいい例だ。
高校生になってなにを後悔したかって、間中朱桜と同じ学校を選んだこと!
真桜ママの話じゃ別の学校だったはずなのに! だから安心して受験したのに! 入学したらいるってどういうこと!?
「ひながここに入りたいって言ったから」
……ああ、そうかい。あんたの基準がひなちゃんなの忘れてたわ。真桜ママじゃなくてひなちゃんに聞くべきだったのよね。迂闊すぎ、私。
私は高校を選び間違ったことを反省して、朱桜に近づかないことを誓った。こいつの行動意義はひなちゃんに関してしか存在しないんだから。
そんなのハイエナには通じなかったけどさ。
朱桜に近づこうとする女子共は、私が幼なじみだということを調べてーーえ、プライバシーの侵害じゃない?ーー私の周りに集ってきた。
自称友人とか親友とかふざけんな? 私はやられたら万倍返しが基本だぞ? 酷い? なにそれ美味しいの?
そもそも、肝心の朱桜にその気がないじゃん。冷たいどころか氷点下のブリザードに近寄ることもできないくせにさ。
だからってこっちに来たって、返り討ちにするだけだっつうの。
そんなこんなで、私の高校1年生はあっという間に過ぎ去った。え、私の青春どこいった? ハイエナと闘う日々が充実したって意味ないじゃん! はぁ。
そんな苦労の1年が終わり、私達が2年生になって、ようやく朱桜の最愛が入学してきた。
城田ひなちゃんも幼なじみのひとりだ。
母親似のかわいらしい顔つきに、小柄で大人しく朱桜の後ろに隠れてそうな美少女。実際は結構なツッコミ体質だけど。
朱桜の隣に当たり前のようにいるひなちゃんに、当然ハイエナ達はいきり立った。バカだねぇ、ひなちゃんになにかしたら朱桜が黙ってないのにさ。
しかも、ひなちゃんには親譲りのステルス機能がついていた。悪意ある奴らには見つけることができないという、気配隠し。なにそれ素敵。
ひなちゃんは間中家に下宿を始めたらしい。え、オオカミのいるとこに最高級のエサ放り込むって、バカなの?
ひなちゃんの姉、はな姉は「家にいるよりマシ」と言い切った。あー、なつるっち、まだ反抗期なの?
なつるっちは、城田家長男で末っ子だ。なつるって呼ばれるだけで睨んでくる、絶賛反抗期中の中学生。
なんかやたらとひなちゃんに絡んでたのは見たことある。うん、朱桜に溺愛されてた方がひなちゃんのためだわ。
はな姉も大学生だから、あんまりひなちゃんのこと庇ってあげられないって言ってたし。ちなママはともかく、城田父は空気だしさ。
ほやん、と笑ってるひなちゃんかわいいから、私もできるだけフォローしとこうと思う。
周りから見たらこんな感じ、を目指します。