065 始まるための終わり に
裏タイトルはその名もルルーリア、その2ですかね。
上から下まで真っピンクの女性は、キョロキョロと周りを見回して、誰かを探してるようだった。
私達は、父達男性の背に庇われている。「旦那様、素敵」と母さまがうっとりしてるのはとりあえず置いておく。
「レン、なんだかとても嫌な予感がするのだけど」
「姉さまもですか。私もです」
こそっと姉さまとやり取りしてる間に、女性は目当ての方を見つけたらしい。ズカズカと大股で歩き出した。マナーもなにもあったもんじゃないその姿に、眉を顰めるお貴族さま方。
なんか見たことあるような気がするんだよね、あの真っピンク。最近ならば覚えてるはず。ならば、昔? どこかで会ってる?
真っピンク真っピンク……………………まさか。
「姉さま、まさかのまさかのまさかなんですけど、あの真っピンクってもしかして」
「あら、レンも? 私もそんな気がするのよ。お名前なんと仰ったかしら」
「だいぶ前に1度聞いただけですし、記憶が真っピンクしかありません」
「そうよね、私もよ」
そうこうしてるうちに、騒ぎは起きた。
「殿下! こちらへ」
「ああ。姫」
「はい」
護衛騎士に守られて後ろに下がる殿下達。王女を守るように背に隠す殿下を見て、あのふたりは大丈夫だと思った。
「え、まってよ!」
さらに踏み込む真っピンク。
「そこで止まって頂きたい! どちらのご令嬢か?」
「あたし? あたしのことはいいから」
「家名を尋ねております」
「そんなことより、そこどいてよ。あたし王子さまに用があるの」
「お祝いでしたらそこから承ります」
騎士団長とその養子君が押しとどめるが、真っピンクには通じない。
家名は大事だぞ? そんな事ですまされるものじゃない。そもそも、家名がある貴族じゃないとこの場に入る資格はないのだ。
てことは逆に貴族だから入ってこれたと言うこと? あの真っピンクがあれだとしたら、どこの養子になったの?
てか、二度と貴族籍に戻すことなかれ、と王家から通達されてる少女を迎え入れる家など、この国にあるはずがない。
この場には、他国の貴族や王族も少数だけどいる。まさかそっち?
「レンさま、顔を出してはなりません」
「トール、あの顔に見覚えない?」
「顔ですか? あの色が邪魔で認識できません」
それな。あの真っピンク、それ狙ってるとかないよね。ないな、頭空っぽそうだもの。
「あー、もう! わからずやー!」
「名乗って頂ければ問題ありません」
確実に距離を広げつつ、真っピンクを牽制する近衛騎士達。団長さまと養子君は王太子殿下達と逃げの姿勢だ。うん、あのふたりも王族だからね。
「あたしはルルーリア! 王太子妃になる女よ!!」
……今なんつった?
長雨で各地大変なことになってますが、命大事に、です。避難は勇気ある撤退です。なにかが起きてからの後悔は約立たずです。