057 正妃と側妃は大違い いち
都合上、レンさんが成長しております。
ダイヤモンドをティアラに装飾してセレイアさまにいかが? と宰相さまにプレゼンしたら即決でした。なんか王族のティアラはゴテゴテしすぎてセレイアさまには似合わないと思ってたそうで。
かと言って未来の王子妃に粗末なものは、と悩んでたらしい。そこに私のプレゼンしたティアラ。台座は金で細かい彫金に大小様々なダイヤをあしらい、差し色的に赤や青が入ったシンプルだけど見る人が見れば高価だと分かる特別仕様。
言い値でのお買い上げが決まりました。こっちも宣伝高価抜群なのでWinーWin。
どうも。商魂逞しくなりつつあるレンさん、12歳です。
……なんか数年飛んだって? 領地経営とか忙しかったんだよ。
あれから鉱山は再発掘が始まって、アクセサリーに加工したものを王都にお店を出して販売を始めたり。
果物をドライフルーツにする加工場を作ったり。
果樹園の規模を大きくしたりと、まぁ色々。
その合間に子供達や希望する大人達にも字や計算を教えて識字率を上げたり、13歳以上の子には王都のお店で働いてもらったりと、そこそこ暮らしに余裕が出てくるまで領地から離れられなくて。
セレイアさま達が姉さまと一緒にお忍びで遊びに来たり、父にくっついて勉強のためと兄が視察に来たりもしたしさ。
捕まった前領主の悪事は暴かれた。今はどこかで強制労働の罰を受けてるそうだ。ただ、捕まったのは前領主だけ。殿下と呼ばれたお兄さんには手が届かなかったと宰相さまが残念そうに言っていた。
さすがに国際問題は慎重にしなきゃだし、しかも王族とか、なにやってんの、あのお兄さんは。
そんなこんなでようやく領主代行が見つかって、てかまぁトールの父なんだけど。執事より才能があったんだよね、これが。
妻と息子に同行を断られたから、単身赴任で。頑張れ。
ラストルは再教育を受けてる。本人もなんか意気込みが前と違うみたいで、メキメキと上達してるそう。
「目の前で主を奪われるのは二度と御免でしょうからね」
「そういうトールも騎士団に訓練に行ってるって聞いたけど?」
「僕もまだまだですので」
私の周りがハイスペックになってく件について。
今王宮では、セレイアさまを含む5人の令嬢が第1王子妃候補として、教育を受けている。ああ、ひとり脱落したから4人か。
最終的にふたりになったら、正妃と側妃になるそうな。差が激しいよね。
これを第1王子が正妃のみを推し進めてるという。あの人セレイアさましか欲しくないもんねぇ。
第2王子がアレなんで、第1王子が立太子するのは確実なんだが、側妃問題が解決しないという。
第1王子がセレイアさまを選ぶのは誰が見ても確実確定なので、王子妃としての嫁入り道具の選定をしていた宰相さまにティアラ含む装飾品をプレゼンしに行ったら、愚痴られ相談されるという謎。
お貴族さまにもそれなりの派閥があって、宰相さまの娘であるセレイアさまが王子妃になることにより、宰相さまの権力がひとり勝ちする状況がおもしろくない輩が存在するのだ。
5人の候補令嬢達は、その派閥からそれぞれ選ばれてるので、簡単に蹴ることもできないと言うのに、あの王子さまはよぅ、てこと。
「なにかいい案はないものだろうか?」
それ、子供に聞くことですかね?
ちゃんと着地できるよう頑張ります。