41 くるーきっとくるー
不屈の闘志で何度でも這い上がる、それが奴。
イディアさまが仲間になった。ちゃららーん。
どうも。お取り巻き選抜総選挙第2弾に参加中のレンさんです。
場所は先日と同じ、侯爵家中庭。今日も晴れてるぜこんちくしょう。
私と姉さまは水色のドレスでセレイアさまとイディアさまを挟んで座る。セレイアさまは薄いピンクのレースを重ねた可愛らしい薄紅色のドレス。イディアさまはモスグリーンに白のレースを重ねたドレス。
皆色が被らないって、相談でもしてるんだろうか。
さて、今日も今日とて不合格の嵐ですな。中にはイディアさまにケンカをお売りあそばしやがったご令嬢もいた。どうやったって君には勝てないぞ、イディアさま結構口が立つ上に正論しか言わないもの。
そして皆お貴族さまの子供である。身分絶対、これ真実。めんどー。
そんなわけで、セレイアさまの「ごきげんよう」と、イディアさまの「もうよろしくてよ」が炸裂し、残るはあとふたりになった。
「……次の方、いらっしゃいませんわね」
なにかあったのか、次の方が来ない。終わった方からお帰りになってるから、なにかトラブルも起こりにくいはずなんだけど。
セレイアさまがおっとり待つ姿勢の隣で、イディアさまがそっと侍女さんに視線を送る。姉さまがリストを確認しているのを何気に眺めてると、遠くから騒がしい声が近づいてきた。
「なにか、きこえませんか?」
「レン?」
私が指さした方向を皆で見る。やっぱりなんか聞こえてくるんだけどなんだろ。
「お引取りを!」
「だいじょおぶだったら! おともだちをさがしてるんでしょお? あたしがなったげるから!」
「貴女をご招待しておりません!」
「きにしないでー! あたしやさしいからぁー!」
……なんか、やな予感がするんだけど。
執事さんやら侍女さん、家令さん達に囲まれて押し留められてるにも関わらず、ずんずんとその歩みは止まらない。
「どちらの方ですの?」
「はくしゃく家の方のはずですが、お声がちがうようですわ」
伯爵家のご令嬢があんな話し方はしないだろな。
私が立ち上がると同時に、姉さまも動いてた。私達の後ろに控えていた、侯爵家の護衛さん達が前に出る。
騒ぎの集団の真ん中にいたのは、サイズの合わないドレスを纏った女の子だった。肩からずり落ちるほど合わないドレスは、本人のものじゃなさそうだ。
「はくしゃくけのごれいじょうをさがしてもらえますか?」
「承知致しました」
侯爵家で追い剥ぎとか、まさかとは思うけど、でもなんかあの子、あれ? どこかで会ったっけ?
「セレイアさまと出会った、お茶会にいただんしゃくれいじょうじゃなかったかしら」
「ああ、あの」
ぺーでぱーなレベルのどピンク少女か。
「あ! いたいたー! あたしがおともだちになったげるよー!」
いや、お断りだ。
いい加減名前決めないとなー。