036 初めての遭遇。そして評価は下がるばかり
おかしい、使いたいサブタイトルがどんどん次回に回されていく(笑)
「わたくしはこの館の女主人なのよ!!」
「ボクはそのあととりだ!!」
「わたしはこのふたりとは無関係だ! 家に連絡をとりたい、かえりたいんだ!!」
「俺は騎士団に戻りたい!! こんな生活もういやだ!!」
うるさいわ。
どうも。耳が仕事を拒否したいレンさんです。
しかし、そんなことを言ってる場合でもない。あまりにうるさいから、ぎゃんぎゃん叫んでる4人の話をまとめてみたよ。
女性は元伯爵令嬢、現伯爵領地幽閉の半分犯罪者である。そしてうちのヘタレ父の元妻だ。子供はもちろん救いようがなかった元弟ね。あれから2年経ってるが、そもそも初対面なので違いがわからない。
元男爵子息と騎士爵は、騙されて幽閉されたと訴えてるが、自分達の実家からの懇願から成り立ったってこと知らないんだろうか、知らないんだろうな。
「わたくしをいつまでこんな所に置いておくつもりなの! 早く部屋の用意をなさい!」
「貴女の部屋など、この館のどこにもありませんが」
妄言に間髪入れずに執事長が返す。すってきー。でも相手はノーダメージだ。首をかしげるともう一度同じ言葉を繰り返す。懲りない、というより理解ができてないのか。なんなの、この人。子供と一緒に常識を身体から出しちゃったんだろか。
きょとんとしてるあたり、わかってないんだろう。おかしいな、2年前にしっかり言い聞かせたと聞いたんだが。執事長を見ると、彼も困ってた。
「しっかりいいきかせてりょうちにおくったんじゃないの?」
「わたしもそう聞いています。伯爵家からはそれに関しての報告書ももらっていますし」
「だよねぇ」
「ふたりとも。きちんとおきゃくさまにむきあいましょう」
いいかげん、ふゆかいだわ。と呟きが聞こえ……なかったよ! 私は何も聞いてないよ!
こそこそしてたのが姉さまにバレたので、執事長に降ろしてもらって、初めて見えた。姉さまが少し震えてる。……そうだよね、あんなことがあって別れた母親が、しかもなにしたかもがっつり知ってる相手が目の前にいて、何も思わないわけないよね。少なくとも姉さまは4年は一緒にいたんだし。まぁ、その感情がそっちかはわからんけど。
「……レン」
私は姉さまの手をそっと握った。私は姉さまの味方だ。小さい私達は、お互い依存するかのように支えあってた。私はもらえる愛情を無邪気に受け取り、姉さまは私に愛情を与えることで自分はひとりじゃないと心を守ってた。親がまともじゃないと子供は大変なんだよ。
いや、今はヘタレ父が垂れ流しの愛情をガンガンくれるけども。ちょっとお腹いっぱいだけども。それはまあ嫌じゃないし。
「……リリアナ?」
「いまごろおきづきなのですか」
「ねえさま、おさえてね?」
無理かもしれない。
次回、レンさん無双の前に姉さまがくる。かもしれない。