033 ほややんでのほほんな美少女
お久しぶりです。よろしくお願いします。
「まあ、あなたもお兄さまがかほごですの? あ、レンさま、こちらのクッキーはいかがですか、おいしいんですのよ?」
金髪碧眼美少女な侯爵令嬢からクッキーをあーんされて口に入れる私。サクサク溶けるようになくなるクッキー。うまうま。
「そうですの。いとしいリリィとよばれるのもそろそろやめていただきたいですわ。兄ももうおとななのですし。レン、おちゃのおかわりはいかが?」
ふわふわ金髪緑眼美少女な姉さまから適温のお茶のカップを受け取り飲む。ほんのり甘くて美味しい。ちなみにシスコン兄は、伯爵家の正式な跡取りとして、勉強という名の経験値稼ぎに伯爵について回ってるので、最近はあまり見かけない。
どうも。シスコン兄達に辟易してる麗しいご令嬢ふたりに挟まれたレンさんです。
てか、ソファーたくさんあるのに、なぜ私を挟んで座ってるのさこの人達。それとも美少女に挟まれてウマーしろと? しかも挟まれた私は普通。空気になりたい。
ここは侯爵家のセレイアさまの自室。応接間だけなのに広すぎて落ち着かないが、子供部屋なのに白とか緑とかオレンジ系の色合いのせいか、騒がしい感じはしない。
本人曰く、ピンクはあんまり好きじゃない、とのこと。似合いそうだが、差し色的な使い方ならいいけど、メインにすると主張が激しくなるそうだ。確かに。
そんなわけで、自室にご招待を受けたわけなんだが。なんだろう、このほんわかした空気。
兄への愚痴すらほのぼのしたストーリーにしか聞こえなくなる不思議。美少女マジックか、そらすげぇ。
さて、美少女のひとり、姉さまが言うシスコン兄はバカ兄のこと。これはもう不治の病レベルなので放置。将来の伯爵夫人と姉さまの夫は苦労するだろうな。
もうひとりの美少女、侯爵令嬢セレイアさまのシスコン兄はふたりいるらしい。さらに姉大好きな弟もいるとか。どんだけー。
男の中にひとりだけいる女の子、しかも美少女。たしかに構いたくもなるだろうな。うちのバカシスコン兄とはちょっと違う。うちのは母の愛をもらえなかったかわりに、母親そっくりの姉さまを愛することで心のバランスを保とうとしてたんだと思うし。
次期伯爵だから厳しく育てられた兄の、姉さまだけが唯一の癒しだったんだろうな。
まぁ、姉さまがそれを理解してくれたとしても許容してくれるとかはあり得ないけどな!
「なによりゆるせないのは、レンをないがしろにすることですわ!」
あさってに心をすっ飛ばしてたら、姉さまの力の入った声で我に返ったよ。え、私の話?
「まぁ、こんなにかわいらしいレンさまをないがしろにだなんて、お兄さまはひどいかたですわね!」
いや、ちょっと同意すんな!? もしもし!?
天然美少女はこの後も半分レギュラーです。私は琥珀くんをだしたーい(笑)