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021 …………で?

なんで休みなのに自分の時間がないんだ……?

 目の前にいるのは、正しくお貴族さまだった。上に立つのが当たり前で、下の者の不遇なにそれ知る必要ある? 自分達が幸せなのが普通な方々は、その下の者の努力で生かされてることなんて些細な事なんだろうなぁ。


 5歳の子供ですら当然のように享受するその世界、脆い地盤の上に成り立っていると気づくのはいつだろう。……気づかないまま終わるかもな。


 悪ガキラストルのお取り巻きだった時に見たのは、もっと弱々しくて誰かの後ろに隠れてるような子供だった。今見た感じ、どうやらあれは演技だったみたいだ。


 堂々と伯爵家を名乗るその姿は、取り巻きというより、主役であると主張してるかのようだ。


 どうも。面倒くさいのと対面するはめになったレンさんです。



 挨拶を終えて、お互いソファーに座る。ナディアナさんは私を座らせて、クッションで背もたれを作ってくれた。ソファーは大人用だからね。


 お茶とお菓子を用意すると、ナディアナさんは後ろに控えた。できる侍女は隙がないねー。


「きょうはどういうごようじでいらっしゃいましたの?」


 手っ取り早く、要件を終わらせようと聞いてみた。大人みたいに回りくどくて遠回しな物言いは今は必要ないだろう。だって私まだ3歳。


「ハリェスししゃくれいじょうのおみまいです」

「まあ。わたくしにですの? さきぶれもなく?」


 いらんわ。てか、お見舞いにしては遅すぎる。遠くから事が落ち着くのを待ってたとかじゃないの? あの誘拐未遂事件の日は、早々に伯爵家から迎えが来てたし。


 ついでに、ラストルとの縁も切りたかったんじゃね? とゲスパーしてみる。


 だって、同じ伯爵家なのに、この人はラストルと違ってなにもされてない。跡取りのスペアはそんなに大事か。そら歪むわなー。


「わたくしにけがなどないことは、よくごぞんじではありませんの。それに、もしけがをしていたとしても、これだけひにちがすぎているのですもの、とうになおっておりますわ」


 あの場にいた当事者だものな! おバカラストルのお尻を蹴り飛ばしたの、私は見てたぞ。


「みみがいたいですね。わがやでもいろいろあったのですよ」

「それがわたくしにかんけいありまして? あなたのもくてきは、わたくしではなくあねでしょう?」

「いえ、わたしはあなたとなかよくしたいのですよ。とぅれんじょう」

「なをよぶきょかをあたえたおぼえはありませんわ」


 姉さまからの完全な拒否に、私にロックオンしたか。しかし、私は爵位はないぞ。だってまだ3歳。小娘に執着するほど、うち魅力的なの? そこまで稼ぐのか父。


「てごわいですね」

「あなたも、わたくしのめのまえでこねこをいじめておりましたわ。そんなかたとなかよくなどできませんの」


 うちの琥珀を虐めた奴など許せるものか! うちの子にあんなケガさせといて! やられたら万倍返しが基本なんだぞ? しないけど、今は。


「おかえりくださいますわね? そしてえいえんにごきげんよう」


 笑顔はプライスレス。次は容赦しないぞとニッコリとお見送りしてさしあげたわ。



亀ですが、これからもよろしくお願いします。

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