017 わがままはわがままだ
九州地方の雨が心配ですが、レンさんはお怒り中です。
私の怒りは絶好調である。
怒れる幼女、レンさん3才仁王立ちです。
なんなの、バカなの、知ってるけど!
「あんたがぜいたくにくらしていけるのは、あんたのおとうさまががんばってるからよ! あんたがきぞくでいられるのはあんたのごせんぞさまががんばったからよ! あんたはなにをがんばったの!? いばってさけぶしかできないくせに!」
這いつくばってる分、今の方が情けないけどな!
「ぼくははくしゃくになるんだ!」
「あんたのおにいさまはどうするのよ」
「あにうえはぼくをささえればいい!」
「ふつうぎゃくでしょ、あほなの」
「なんだと!」
「あんたにささえられるちからがないからおにいさまにささえてもらうのね、よくわかった」
「ぼくはえらいんだ!」
「だからえらいのはあんたのおとうさまだわこのぼけ」
ループである。事実と信じてるのか思い込みなのか、誰かに唆されてるのか。洗脳とかなら笑えないなぁ。
「おまえ! このぼくにさからうな! あやまれ!」
「じぶんはあやまれないくせに、ひとにはきょうようするなんてさいてー。てか、そもそもわたしあやまることなんてしてないし」
したのは自分だろう、犯罪者予備軍。動物虐待反対。
「よわいものはつよいものにしたがうんだ!」
「いみをはきちがえるなどあほう。つよいひとはよわいひとをまもるもの。いじめるなんてしない。よわいのはおまえだ」
「おれはつよいんだ!」
「よわいいぬほどよくほえるのよ」
「おれはよわくない!」
「うるさい」
「う、わあああぁぁん!」
「なくなよわむし」
泣くくらいなら最初から大人しくしてるべき。てか、なんで中途半端な位置のままなんたろ。不法侵入で訴えようと思ってるのバレたか?
「それより、わたしあんたにつきあうぎりないのよ。おかえりいただけるかしら」
帰れ招かざる客。客ですらないけど。遊ぶ時間なくなっちゃうじゃんか。まったくもう。
「おとなよぶわよ」
言った途端、壁の向こうからすみませんでしたぁ! と声がして、ズルズルとバカが消えて行った。もっと早く言えばよかった。時間を無駄にしたわ。
と、この時はそう思ってた。
「きたぞ!」
あれからちょくちょく来ようとは、誰も思わないよね!? あんだけ罵られてまた来るなんてバカなのマゾなの!? 鳥頭なのね知ってるー。
「よんでないし」
「わざわざきてやったのにあいさつもないのか!」
「よんでないし」
「このおれさまがきてやったんだぞ!」
「よんでないし」
「…………」
「よんでないし」
泣くくらいなら来るなよ。招待んでないし喜んでるわけでもないんだからさ。むしろ迷惑。私だって勉強の時間があるから、琥珀と遊ぶ時間が限られてるんだよ。
しかもあれから護衛と言う名のお目付け役が増えたしさぁ。姉さまが心配してるのはわかるけど、バカ兄の心配はいらん。
さて、大人が来る前に追い返さないとなぁ。面倒。
「うわぁ!?」
おぉう。
なのになんか事件の予感しかしない叫び声とか、やっぱりお約束なのかね?
命大事にお過ごしください。地震被害とは違うでしょうけど、怖さは一緒です。