013 先行投資ってどんだけー
すみません、肩がバッキバキで回りませんでした。借金のせいでは決してない? と思いたい。くっ、フロントガラス高いんじゃぁ!
「ねぇさま?」
ちょこん、とかわいらしく姉さまの後ろから登場してみたレンさん、今日は姉さまとおそろいの薄い水色のドレスです。
姉さまはとても似合ってるよ! 私は幼女補正かけても微妙だよ! 関係ないけどね!
「はじめまして。ぼくはラルフォーレはくしゃくけのカダムです」
「おはつにおめにかかります。はりぇすししゃくけのとぅれんともうします」
ご挨拶は大事だよね。大人しそうな少年になんちゃってカーテシーを返す。てか、ひとりしかいないけど? あの悪ガキそうなふたりとその他はどうしたんだろ。
ちなみに、我が家の子爵夫人は最初の挨拶だけ来て、散々息子自慢した挙げ句、体調がーと退出してったそうな。うーん、ふりーだむ。
今頃、大人だけでお茶してる奥方さま達の噂の的だろうなぁ。家柄的にはこちらが下なのに、なんで態度が上からなんだろう。実家が伯爵家だから? あんまり頭がいいとはいえないと思うんだけど。
あ、お茶会は本館ーーと呼ぶらしい。初めて知ったわーの中庭でやってるよ。大人達は中庭が見えるホールでまったり中。
主役の姉さまは、カダムくんと仲良さげにお話中なので、私は悪ガキ達を捜索することにした。
行くとしたら、本宅と別宅の間の森だろうか。ちょっと歩くけど、子供は元気だからなぁ。
てくてく歩く私の後ろにはトールがついてくる。見張りなのか子守りなのか護衛なのか……全部かな。
「わたしもろくさいになったらやんなきゃなんないのかぁ、めんどー」
「いまからきちんとおべんきょうなされば、そとがわはつくろえますよ」
「みもふたもないね、トール」
まぁ、最早中身の改善は不可能だけれどもさ。しかし辛辣。そして難しい言葉を知ってるね、トール。
でも、さりげなく子供用の日傘をさしてくれるとか、優しいとこもあるよね。今日天気良くて眩しいもんね。帽子かぶれる頭じゃないんだよ私。お茶会仕様でかわいくデコられてるのさ。
「みためはわるくないのですから、しゅくじょのほほえみをたやさなければ、なんとかなるのでは?」
「うーん、こんやくしゃいらないんだけどなぁ。これはおとなとはなすしかないかなぁ」
「おとな……ごとうしゅさまですか」
「あったことないけどねー」
いたな、そんな人。血縁的父はあいもかわらず仕事人間だそうで、本館の仕事部屋から出てこないらしい。幻のなんとか並みに見かけるのはレアなんだと。どんだけー。
さて、森の入り口についたけど、いるかなぁ。耳を澄まさなくても人の声。いたね。しかもなんか騒がしい。思わずトールと顔を見合せると、声のする方に駆け出した。
「あははは! こいつよわいなあ!」
「にげないのかー? まぁ、にがさないけどー?」
「ほら、にげてみろよ」
「ぷるぷるしてるね、おもしろーい」
アレな貴族のご子息達は、なにか小さい生き物? をそれは楽しそうに虐めてらっしゃった。ストレス社会の縮図を見た気がする。てか、弱いものを虐げるのが普通だと? そうか。
「なにしてやがんだゴラァ!!」
叫んだ私は悪くない。
新な出会いの予感(笑)