012 成長。……してる?
GW最終日に滑り込みとか……(笑)
「どうだ? 可愛いリリィに似合いそうな奴はいたか?」
「どなたもどこかのバカあによりはましでしょ。てか、ねえさまのマナーがかんぺきすぎて、みんなおこさまにしかみえないけど」
「トゥレンさま。いいすぎですよ」
「えー」
どうも。絶賛滑舌よくなりすぎてバカ兄に暴言吐いてはトールに宥められてるレンさん、引き続き3歳です。
ミリーヤの子供であるトールは、従僕見習いで私達に(主に姉さま)つくことになった。マザコンで泣いてたことを除けば、彼は将来有望であるらしい。
バカ兄のとこのドS執事にも普通に突っ込みを入れる4歳児、恐ろしい子!
トールは、姉さまの6歳の……そう! 姉さまが6歳になったよー! もちろんお祝いしたよ! 本来なら本宅で盛大なパーティーがあるらしいんだけど、どうやら弟のこと以外脳みそがお花畑な母親は、姉さまを思い出しもしないそうで。
なーのーでー、こっちでプチ派手にやりました。しょうがないからバカ兄も呼んだ。さすが伯爵家の跡取り、飾りつけやらプレゼントなんかも派手だった。
姉さまに呆れられてたけど、一応仲直りはした模様。姉さまが大人でかわいい。
私からのプレゼントは、薄い水色のハンカチ。生地から染めて(何度失敗したことか……!)刺繍はさすがにできなかったから、イニシャルを染め粉で書いた。
姉さまは喜んで私を抱きしめてくれた。兄にどや顔するのを忘れなかった私、どうよ。ハンカチを咥えて泣く兄もどうよ。
当然ながら、兄からのプレゼントにはお礼だけだった。ざまぁ。
できる4歳児は、時間がなかったとかで薄い紫色のリボンと花束だった。兄のより喜ばれた。ちょっと兄に同情した。見習えよと思わず言ってしまったけど、聞こえたかなぁ。
さて問題は、姉さまの昼の社交界であるお茶会へのデビューである。
他所の貴族宅への訪問の前に、まずは自宅でお茶会を開いて、婚約者候補と顔合わせ。何度か繰り返し、婚約者を仮決めすると、ふたりで他家のお茶会に参加。派閥とか身分差とかを学び、社交界へのステップを踏んでいくのだそう。聞いただけで疲れるわー。
そんなわけで、母親が使い物にならないので、本宅の執事と兄が相談して、姉さまのお茶会が開かれた。
そして冒頭に戻るわけである。
現在、私達は陰からこっそり覗き見中なのだ。なにせ、主役は姉さま。お客は同年代の男子のみ。参加できない兄と私、理不尽。
トールは姉さまについていたけど、物陰から覗く私達に気づいて注意に来たそうだ。バレバレだったので、姉さまが呆れてトールに頼んだらしい。バカ兄が騒がしいからだね。私だけならちまっこいから隠れてられたのに。
「で?」
「ん?」
「トゥレンさまからみて、どうですか?」
ああ、そゆこと。
「あのきんぱつふたりと、くりいろのはだめ。このおちゃかいのいみをわかってない。あおいめの、おとなしいこがもちょっとおはなしできれば、ねえさまときがあいそう」
思ったことを言うと、トールはただ頷いた。あ、やっぱトールもそう思ってた?
姉さまそっちのけで、遊び回ってるやんちゃさんは論外。ちゃんと主旨をわかって椅子に座ってるおとなしい子は、話しかけようとしては失敗してる。
姉さまはみんなに気を配ってはいるけど、完璧ではない。飽きて遊び始めたお子様がケガしないように心配してるようだし。姉さまだけ大変そう。
「ん、よし」
私は立ち上がってスカートの汚れを払った。首をかしげるふたりに、笑って宣言した。
「はなしてみないとわかんない。いってくる」
「「は!?」」
遠くで見てるだけじゃつまんなーい。行動あるのみ。レッツゴー!
「トゥレンさま!?」
聞こえなーい。
次回。レンさん、ネコかぶってお茶会に乱入する。の巻